言われたことしか部下が出来ない、と思ったら

「これ、冷蔵庫にいれといて」
届いたばかりの食材を部下に委ねたら、本当にそのまま冷蔵庫に入っていた。

いやいや、パックから出して、傷まないように移し替えるとかあるでしょ?
確かに「入れといて」とは言ったけど!

さてさて(笑)
こんな部下どうやって出来るようにしましょうか?

課題は「やり方」ではなく「あり方」

「言ったことしか出来ない部下」は、基本的に様々なことに目が届かないケースが多いです。
食材の扱いに限らず、仕込中も営業中も、
”え!確かにそう言ったけど、ちょっと想像すれば気づかない??”
ということが頻繁に起こる。いわゆる「気の利かない部下」ですね。

ではそんなシーンを見つけるたびに”もっと考えろ!”と指摘する?
それとも、”この場合はこうやってこうするんだよ。”と一つ一つ教える??
または気が利く職人の姿勢を背中で見せる?

これらをすれば本当に「気の利く部下」になれるでしょうか??

気が利く、視野が広い、周りが見えている部下の行動は
その在り方から生まれます。
気の利く部下は主体的で、気の利かない部下は受け身であることが多い。

行動が変わるためには、まず在り方を見直す必要があります。

仕事への主体性を持ってもらうには

仕事に対して受け身である部下は、基本的にどんな作業も「やらされている」と感じています。
それは自分の仕事ではないのです。
だから求められている以上の成果を生み出せないし、どうしたらスピードが上がるかとか
どうしたらもっと綺麗に出来るかとか、自分で成長することが出来ません。
貰ったことしか出来るようにならないのです。

仕事に対して主体的に取り組んでいる部下は、自分自身をコントロールしています。
クオリティをあげる方法、スピードを上げる方法を自分で考える力がある。

主体性のある部下は
「Why I am here(私は何故ここにいるのか)?」への答えを持っています。

それはフランスに行くためかもしれないし、
将来シェフになるためかもしれない。
もしくはもっとシンプルに、尊敬する先輩やシェフをサポートしたいのかもしれません。

彼らは自分自身の目的を持っています。
だから、今やっていることと、その目的を繋げて
どんなふうに自分を成長させていくことができるか、考える力がある。

ピグマリオン効果をなめてはいけない

では受け身な部下は、どうしてそうなってしまったのでしょうか?
お店に入ったときから、何も目的が無かったのでしょうか??

多くの場合、彼らは今までの職場での経験からこう感じていることが多いのです。
「自分は出来ない部下だ」
「自分はここには必要とされていない」

料理に全く興味が無いのに、この世界に入ってくる人は珍しいと思います。
最初は間違いなく「顧客の笑顔をみたい」とか「料理の技術を身につけたい」とか
彼らにも思いがあったと思います。

でも、人より不器用だったり、最初のスタートダッシュが遅かったりして
自信を失ってしまった。

私の経験上、こういった部下は誰かにその可能性を信じてもらうことで
自信を取り戻し、才能を花開かせるケースがとても多いのです。
「この部下は伸びる」と上司が信じることで、ほんとうにそうなる。

心理学ではピグマリオン効果と呼ばれるこの働き。
他者に対する期待や願望が現実になることで、ひっくり返すと
「この部下は言われたことしか出来ない」と信じれば、
その通りのことが起きてしまいます。

今、辻のフランス校時代の同期に、コーチングの継続セッションを受けてもらっているのですが、
いわゆる「気の利かない部下」がいるそうなんですね。
いつも周りが見えていない。

前回のセッションの後、その部下に
「頑張ってほしいし、どうでも良いやつにはこんなこと言わない。
いつもお前のこと考えてるんだから」
と言ったら、半分泣きそうになったらしいです。
彼のこれからの成長がとっても楽しみです。

 

あなたの一言は、部下の行動を後押しすることができます。
明日は部下に、どんな言葉をかけますか??

 

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