コーチングで他人を変えることはできない

コーチングは対話によって、相手の気づきを引き出し自発的行動を促すものです。
自分の中から生まれた答えに対して、人は3倍行動に起こせる確率があがる。
そのため、コーチングではクライアント自身の答えを引き出すことをとても大切にしています。
目の前の課題に対して”自分は何ができるか”。
その性質上、第三者を変えることはできないのですが、
実はコーチングでは”誰かを変えたい”というテーマを扱うこともとても多いんですね。

相手にスポットライトを当てる

コーチングではよく人間関係のテーマを扱います。
”上司の指示が不明確なので仕事がしにくい。もっときっちり指示してほしい。”
”旦那といつも衝突する。なぜ理解してくれないのか。”
”部下のやる気が見えない。もっと情熱を持ってほしい。”
などなど。

こういった課題に対して焦点を当ててしまうと
”上司にきっちり指示してもらうためにはどうすればいいか?”
”旦那に理解してもらうためにはどうすればいいのか?”
”部下に情熱を持ってもらうためにはどうすればいいか?”
と、第三者を変えるための解決策を探すことになります。

その場にいない第三者にスポットライトを当てても、事態は何も変わり様がありません。
大抵は課題の周りをグルグル回って、コーチとクライアント二人で
”どうしたら解決できるんでしょうねえ”となりがち。

コーチングにおいて大切なのは、対話に参加しているクライアントにいつも焦点を当てることです。
例えば
”仕事がしやすいとは、あなたにとってどういう状態なのですか?”
という質問からクライアントがどんな状態を求めているかがわかります。
そこにはおそらく上司の指示だけでなく、自分が主導権を握りたいとか
どこまで求められているかを知りたいとか、様々な要因があるでしょう。

”クライアントがどうありたいのか”に焦点を当てると
クライアントは自分で”何をするべきか”を見つけることが容易になります。
上司の指示が実際に鍵になってる場合は、直接正直な思いを伝えるとか
または忙しい上司に思い出してもらうために自分から声掛けをするとか、
様々な選択肢が広がります。

どちらにせよ、最後に生まれるのは
”そのために今自分に何ができるか”です。

 

コーチもクライアントを変えられない

同じ原理から言えるのは、コーチもまたクライアントを変えるのは不可能だということ。

”誰かの役にたちたい”と思ってコーチになる人が多いので、
コーチングをしているとつい
”もっと休んだらいいのに”
”ひとまず行動してみたらいいのに”
とコーチの中に答えを持ってしまうのです。

”他者は変えられないよ”と言っているコーチが
クライアントを変えようとするのでは本末転倒です。

”何を変えるか”を決めるのはクライアントであって
コーチが”ここを変えるべき”と決めつけてはいけません。

人は相手が自分を変えようとしているのを感じ取りますから
クライアントはその時点で心を閉じてしまいます。
質問にその意図が現れ誘導尋問のようになりますし、
中には”〇〇したほうがいいんじゃないですか?”とアドバイスを始める人もいるので、
クライアントはむしろやる気をそがれるでしょう。

これは人材育成にコーチングを使う場合も同じです。
部下を変えようと思ってコーチングのスキルを使うと相手はむしろ警戒します。
(実際にそういう職場をいくつも見たことがあります。)
相手のなかに答えがあることを信じていたら、アドバイスも誘導尋問も必要ありません。
”あなたはどうしたいの?”
おそらくこれが一番多く使われる質問のはずです。

因みにコーチからのアドバイスを行うこともありますが、
それはクライアントから”コーチの意見を聞きたい”と要望があったときです。

 

コーチはクライアントを変えることはできない。
ですがコーチはクライアントが変わるサポートをすることができる。