”緑”がなくても料理は完成するか、という話

料理やデザートを構築するとき、
足し算をするか引き算をするか問われると、
自分は引き算が好きだなあと思います。

これは以前一緒に働いていたシェフに影響を受けたからで、
とってもロジカルに料理の構築をされる方だったのですが、
”これ、なんでここに乗せたの?”
”このスパイスを持ってきた意図は?”
と私が創ったデザートのひとつひとつの意味を問われる方だったのです。

それまで感覚だけで作っていた私は
このシェフからすごく良い刺激をもらいました。

料理のなかで引き算をするというと、
私はまず”色”を思い浮かべます。

例えば真っ白なデザートを作る。
色彩に目をとらわれない分質感が浮かんで見えるし、
香りや味も、より明確にとらえられるような気がする。
もっと細かく言うと、白の中にも色々な白が存在することに気づきます。

かといってなんでも引けばいいかということではなく、
同じ”食感”のスポンジ、クリーム、ソルベ、を重ねると
全体的にインパクトの無いデザートになってしまう。

”食感”はその場で組み立てられるレストランのデザートの醍醐味なので、
私はどちらかというと足し算をします。

どちらにしても

”意図をもって足し引きする。”

ということが大切なのかな、と思います。

日本のデザートは昔から彩でミントを飾ることが多く、
”緑が無いと完成していない気がする”
という意見を何人かのシェフから聞いたことがあります。

私はむしろ”欠けているものの中に美しさを感じる”ので、感性の違いだよなあと思います。
デザートを構築するテーマに”侘寂(わびさび)”を置いてたこともあって、
敢えて何も置かない”無の空間”を置いたりしていました。

因みに私自身は、自分のデザートにミントをほぼ使いません。
理由は”彩と思わず食べてしまわれるお客様がいるから”です。

ミントはかなり強烈な香りを持っています。口に入れると他の香りを全て覆ってしまう。
スゴクもったいない、と私は感じるのです。

これまでにミントを使ったデザートを作ったのは”モヒート”をイメージした時ぐらい。
ミントはそのデザートを構築する上で欠かせない要素だったから。

緑が色彩として欲しい時はシソやバジルのミニリーフや、
変わったところでアニスの葉も, デザートとの組み合わせが面白くて、使っていました。

引き算をすると、足し算で覆われていたものが無くなって

本質に近づく=自分らしさに繋がる

気がします。

私はコーチングをする際にもよく
”何を捨てることができますか?”
”何を止められますか?”
という質問をします。

それは日本人はもともと頑張り屋なので、すでに抱えきれないほど持っていて、
足し算をすることよりも引き算をすることが,
”その人らしさ”に近づける気がするからです。

 

キッチンの業務分担は”足し算”ではなく”引き算”で コーチングってそもそも何?