チームの価値を自分たちで上げる”ランチは本当に安い値段じゃないと売れない?”

”ここのお客様は、一番安いコースしか頼まないから・・”
そんな風に感じているスタッフ、決して少なくないと思います。

でもちょっと待って。それ、本当に本当にそうですか??

チームのメンバーはランチに本当の価値を見出しているか

以前とある住宅街のレストランで働いていたことがあります。
ランチコースは2500円・3500円・5000円の三本。リピーターのお客様も多く、ランチは結構席がうまるのですが、お客様が頼むのはいつも2500円のコースばかり。

店には5年以上勤めているベテランのサービススタッフがいて、顧客のこともよく知り尽くしていたのですが、”マダム友達と気軽に来たい人たちばかりだから、高いコースは売れない。”と常に言っていました。

どちらにしても売れるのが2500円のコースなので、シェフもそのコースの料理は毎月新しいものに変えていましたが、3500円のコースは年間通してほぼ同じクラシックなメニュー。前菜やメインのチョイスができるとはいえ、身内からみても”食べに来るなら2500円のコースを絶対に頼む”という状態だったのです。

3500円のコースを食べたいと思っていないスタッフが、お客様にそのコースを進められるわけがありません。ドリンクもあまり出ないので、総じて客単価が低いのがこの店の課題でした。

今までの常識を疑ってみる

そんな中、このレストランに新しいマネージャーが赴任します。営業出身のこのマネージャーは2週間ほどお店の様子を見てからこういったのです。

”お客様はお金をもってないわけじゃない。売れないのは3500円のコースに魅力がないからなんじゃないの?”

最初は皆半信半疑でした。来たばかりでうちのこと何も分かってないくせに、という声も出ました。
ただ他の店舗が毎月売り上げ目標を達成するのを横目でみていて、”うらやましい”という気持ちもどこかにあったんだと思います。さらに当時社内では、業績の悪い店舗はレストランを閉めて、ブライダルに特化するかもという噂も流れていました。

そこから、ゲストに価値のあるランチを食べてもらい顧客満足を得ながら、きちんと利益をだしてお店を存続させるにはどうするか、というシェフを交えての作戦会議が始まりました。

2500円のコースはチョイス無しの決め打ちに変更。3500円は前菜・メイン・デザートをすべて選べるようにしました。またクラシックなメニューを少しだけ残して他は季節の食材を使ったメニューに変えることで、リピーターの方が毎月楽しめるようなラインナップに。

新しいメニューが始まると、お客様の反応を見て、何が響いているかの検証をやりました。
メニュー表の作り方もしかり。開いた1ページ目に一番売りたい3500円のコースを持ってくる。私たちが顧客に本当に食べてほしかったのは、このコースだったので、一番最初に目に付くところに置きたかったのです。しかもこれは、お客様に一番近いところでサービスをしてくれていた、アルバイトスタッフの意見でした。

この改革の結果、実はサービスメンバーの営業スタイルに一番大きな変化が起こりました。毎月きちんと試食会をして新しいメニューを味見して、その調理法やストーリーを理解してもらうことで、積極的に3500円のコースをお客様にすすめることができるようになったんです。
そして社員だけではなくアルバイトのスタッフ達も巻き込みながら、この店はグループ内レストランの売上全国1位に躍り出て、そのあとも歴代の最高売上を更新しつづけました。

ただ単に、お店の売上をあげるための”売りたい”、はお客様に伝わってしまうはず。サービススタッフが本当にその料理に価値があると感じていて”是非お客様に味わっていただきたい”と思ったからこそ、顧客に届いたのだと思います。

キッチンとサービス、両方の意識をまず変える

 

”2500円のランチしか売れない”と”私たちのお勧めする3500円のランチを是非食べてほしい”の間にはとても大きなマインドの差があります。
前者はそもそも自分たちが働いているレストランに魅力を感じておらず、逆に後者は誇りに思っている。

サービスメンバーは自分たちが売っている商品である、料理の価値を理解することが大事です。食材に関する知識、特に生産者から直接仕入れているものは作り手の思いを知っていると、お客様に料理のストーリーを伝えられます。

そしてそのためにはキッチンで働く職人の協力が欠かせません。稀に試食会もせずに新しいメニューを売らせているレストランがありますが、あれはあまりにも酷です。自分たちが味わったこともない料理を、説明することなど不可能です。まるでマニュアルを読んでいるかのように聞こえてしまう。

また食材や料理に関する知識で知っていることは、試食会だけでなくその後も、どんどんサービススタッフに話しましょう。特に若手の職人に説明を任せると、本人にとっても良い勉強になります。サービスメンバーからピュアな質問が飛ぶことがあるので、”そういえば何でこうやって仕込むんだろう?”と、新しい学びを自然と得るきっかけになります。

成果を出せるチームになるには、働いているメンバーそれぞれが自分のレストランに価値を感じていることが重要です。そして、そんなチームをつくるためには、シェフやリーダーに求められるのは”巻き込み力”。

社員だけでなく、アルバイトや、洗い場のおばちゃんであったり、受付に座ってくれているスタッフまで、すべてのメンバーが一緒にチーム作りに関わっているのだと、感じられる環境をつくることです。

 

さあ、あなたは自分のチームが作る料理にいくらの価値をつけますか??