ICF資格PCC取得へのプロセス|申請条件・費用とコーチとしての”本物の旅”を歩むヒント

ICF(国際コーチング連盟)の資格に興味があるけれど、「具体的に何が必要で、どう進めたらいいのかよく分からない」と思っていませんか?

この記事では資格レベルの一つ「PCC=認定プロフェッショナルコーチ(Professional Certified Coach)」について、申請条件や費用などを詳しくまとめています。また現役のACCおよびPCCの録音を審査するICF認定アセッサーであり、ICF資格取得を目指す方へのメンターコーチングを行っている一人として、資格取得のプロセスに役立つ実践的な情報も合わせてお届けします。

2026年4月追記

ICFでは2027年に資格試験のプロセスの大幅な変更を予定しています。レベル1および2プログラムを2027年4月1日以降に修了する予定の方は、ICF本部サイトを必ずご確認ください。(※講座の終了日ではなく、修了実技評価の合格日が修了日となるケースが多いようです)
「基準とコンプライアンスの更新について」(ICF本部サイト)

PCCとは?|ICF認定資格の基礎知識

PCCとは「認定プロフェッショナルコーチ(Professional Certified Coach)」の略で、ICF(国際コーチング連盟)の認定するコーチング国際資格の一つです。全部で3つあるICF資格のうち、真ん中のレベルのものになります。

資格名コーチ専門トレーニングコーチング経験
ACC(Asscociate Certified Coach)60時間以上100時間以上
PCC(Professional Certified Coach)125時間以上500時間以上
MCC(Master Certified Coach)200時間以上2500時間以上

「プロフェッショナル」という名前が指すとおり、プロコーチとして活動していくならPCCの取得は視野に入れたいもの。コーチとクライアントをマッチングしてくれるアメリカの大手エージェントなどでは、PCC資格の保有をコーチの応募条件にしているところもあります。

またICFで一番最初にできた資格はこのPCCで、ACCやMCCは後からできた資格です。ICFには各資格レベルの最低スキル要件が存在していますが、PCCが一番項目が多くかつ詳細な表現になっており、どのレベルのメンターコーチングでもPCCスキル要件を基準にしているコーチもいます。

PCCに挑戦するかどうかはさておき、コーチとしての質の向上にとても役立つものなので、興味のある方はぜひ一度ご覧になってくださいね。
PCC Minimum Skills Requirements(国際コーチング連盟本部サイト)

PCCはACCをスキップしての取得が可能?

3つの資格レベルがある場合、一般的には一番下のレベルから受けるのがセオリーですよね。ただICFの資格レベルができた成り立ちもあり、PCCだけはACCをスキップしての申請が可能です(※MCCに申請する場合は、PCCを取得している必要あり)。

申請費用もそれなりにかかりますし、前述のとおりPCCで求められるスキル要件はすべての資格レベルの基準となる要素が含まれています。セッション時間を十分に積み重ねているなど、申請要件がそろっている場合は、直接PCCに申請するのも一つの選択肢です。

ちなみに私は元々ICF資格に興味がなく、取得を考え始めた時点でのセッション時間が350時間を超えていたため、ACCをスキップしてPCCを取得しています。

PCC取得に必要な条件

PCCの取得には以下の条件をすべて満たす必要があります。このうち、上4つは申請時に必要な要件であり、筆記試験は申請後に受験するプロセスとなります。

コーチ専門トレーニング(Coaching Education):125時間以上

任意のコーチ専門トレーニング機関で、125時間以上のトレーニングを修了する必要があります。ICFの認可を受けているコーチングスクールかどうかで、後述する申請方法がよりシンプルになることがあります。

コーチング経験(Coaching Experience):500時間以上

コーチ専門トレーニングの開始後、500時間以上のセッション経験を有している必要があります。またカウントできるセッションにはいくつかの条件があります:

  • 少なくとも450時間は有償セッションであること
  • 最低25人以上のクライアント
  • 少なくとも50時間はPCC申請前の18カ月以内に提供していること

※有償セッションに関して、どういったセッションをカウントできるかは後程詳しく説明します。

メンターコーチング(Mentor Coaching):10時間以上

3カ月以上の期間にわたって、10時間以上の「メンターコーチング」を受ける必要があります。

  • 内3時間はメンターコーチとの1:1のセッションであること(7時間はグループメンターコーチングでもOK)
  • PCCまたはMCCレベルのICF資格保持者から受けること

「メンターコーチング」とは?
ICFはメンターコーチングを、「観察されたセッションに基づくフィードバックを受けながら、ICFのコアコンピテンシーに沿ってスキルやスタイルを磨くための協働的なプロセス」と定義しています。ICFコンピテンシーを扱わないスーパービジョンや、日常の課題を扱う通常のコーチングはカウントできないので注意しましょう。

メンターコーチの選び方~自分に合うメンターコーチを見つけるために意識したい5つのポイント~

パフォーマンス評価(Performance Evaluation)

実際のクライアントとのコーチングの録音を二本提出し、審査に合格する必要があります。提出できる音源の条件はこちら:

  • 20~60分の長さで編集されていないこと
  • 有償または無償の「実際のクライアントとのセッション」であること
  • クライアントは、「定期的なクライアント」でない限りコーチではないこと

「定期的なクライアント」とは、コーチング以外の目的ではなく、純粋にコーチングを受けるためにあなたのもとに来た個人を指します。相互セッション練習の録音はもちろん使えませんので、注意しましょう。

筆記試験(Written Exam)

ウェブ上でICFのコアコンピテンシーを網羅する筆記試験「ICF資格試験(ICF Credential Exam)」に合格する必要があります。

「ICF資格試験」はPCCとMCCに共通のテストで、倫理規定やコンピテンシーへの理解を「ケーススタディ」をベースに確認するデザイン。実際に起こりうるコーチングの場面、そしてコーチが取り得るアプローチから、「最善(Best)」「最悪(Worst)」を選ぶ選択式のテストです。

※試験会場や試験の受け方について詳しくはICF本部サイトを確認するか、ご自身のメンターコーチに確認してみてください。
ICF資格試験について(ICF公式サイト)

PCC申請の2つの方法

PCC申請には、どのようなコーチング専門トレーニングを受けたかによって、以下の2つの申請方法があります:

Level2パス
  • ICF認定の対象プログラム(Level2)を修了した人向け
  • メンターコーチング(10時間)+パフォーマンス評価が含まれている
  • プログラム修了書と500時間のセッション経験で申請でき、審査もスムーズ

※過去にACTPプログラムを修了している場合は、Level2パスでの申請が可能です。(参考資料:ICF本部サイト


Portfolio(ポートフォリオ)パス
  • ICF非認定プログラムや継続コーチ専門教育(CCE)単位を使って申請する方法
  • ICF非認定トレーニングの場合、ICF基準を満たしていることを示す「プログラム概要」を提出する必要がある
  • メンターコーチングやパフォーマンス評価もすべて自己手配
  • プログラム修了書(またはプログラム概要)+500時間のセッション経験+録音を二本提出

※過去にACSTHプログラムを修了している場合、基本的にはポートフォリオパスとなります。(参考資料:ICF本部サイト

私はコーチングを学び始めた時にICF資格を視野に入れていなかったこともあり、CCEとICF非認可プログラムを積み重ねる形での「Portfolio(ポートフォリオ)パス」で申請しています。提供団体が「プログラム概要」や必要書類を準備してくれているケースもあるので、受講したのがLevel2やACTPプログラムでなかったとしても、諦めずに道を模索してみてください。

自分の申請タイプはどれ?
どの申請方法が適切かについては、ICF本部サイトの「Education Search Service (ESS)」にて確認できます。ご自身が修了したプログラムの提供団体名を英語で入力すると、認定タイプが表示されます。

PCCの申請費用

PCCの申請にかかる費用は、申請方法やICFの会員であるかどうかで変わります。

申請方法ICF会員非会員
Level2パス$375$525
Portfolioパス$750$900
※単位は$=アメリカドル

ICF会員の年会費は$270(2026年2月現在)です。ICFジャパンが開催するコーチングの勉強会に会員価格で出来るほか、英語がOKな方はICF本部のラーニングポータルにて様々なオンライントレーニングやセミナーを無料~安価な値段で受けることが出来ます。

補足情報として、基本的に申請費用は数年に一度値上げされる傾向があります。申請時期を決める際にも、参考にするといいかもしれません。

PCC申請の第一歩|ICF申請書を作って「見える化」しよう

「申請に必要な条件がそろってから手続きを始める」という方が多いのですが、私のおススメは資格を目指すと決めたらまず、ICF本部サイトから「ICF認定資格申請書(ICF Credential Application)」を作成してしまうことです。

「ICF認定資格申請書(ICF Credential Application)」は資格申請者用の専用ページで、Excelのようなシステムに上記で解説した申請条件などが分かりやすく表記されており、自分があと何をクリアすればいいか簡単に「見える化」することが出来ます。

ICF本部サイトの資格についてのページ途中にある「Start Your Application with the Credential Path Survey」というボタンをクリックし、必要な情報を入力すると、簡単に作成することができます。

▶ご自身のコーチ専門トレーニングの種類について入力する必要があるので、分からない方は「Education Search Service 」で確認してみてください。

PCC申請後の流れ|結果が出るまでの期間と補足情報

ICFに申請書を提出後の流れはどのパスを通っていても共通で、「審査の完了」→「筆記試験(ICF資格試験の受験)」→「合格すればPCC取得」となります。大きく異なるのは審査にかかる時間です。

申請方法審査にかかる期間
Level1/Level2パス4週間
Portfolioパス18週間

▶Portfolio申請書の結果通達までは基本18週間ですが、申請状況によりさらに時間がかかることもあります。最新の情報はICF本部ウェブサイトにてご確認ください。

審査が問題なく完了した場合は、その旨の通知と、ACCまたはICF資格試験の受験についてお知らせするメールがICFから届きます。

2026年度中にPortfolio申請を考えている方へ
冒頭の追記にあるように、ICFでは2027年4月1日から資格申請のプロセスの大幅な変更を予定しています。駆け込み需要が増えることが予想され、申請の結果通達まで18週間以上かかる可能性が高いので、余裕をもって申請やメンターコーチングの計画を立てることをおススメします。
Portfolio申請における変更について

PCC申請のポイント①|500時間のセッション実践について

ACC同様、PCC取得を目指すコーチの方にとってチャレンジになるのが「500時間のセッション実践」です。ICFの規定では、「コーチ専門教育を始めた後に行ったセッションが500時間以上」あり、そのうち「少なくとも450時間は、有償のセッションであること」が求められています。

まずは、これらの定義を確認していきましょう。

「コーチ専門トレーニングの開始後」とはいつ?

Level2、CCE、非認定プログラムに関わらず、ICFは「30時間以上のコーチ専門トレーニング」の開始以降のセッションを500時間にカウントできると定めています。(30時間以上のプログラムを受ける前のセッションはカウント出来ないので注意しましょう。)

「有償セッション」としてカウントできるものは?

450時間の有償セッションにカウントできるものは主に以下の3つです:

クライアントからお金・対価をもらったセッション

クライアントと直接契約し、有償で行われるセッションです。

  • たとえ少額でもOK(1回500円とかでも問題なし)
  • 物やサービスとの交換(物々交換、スキル交換)もOK

「コーチング⇔ウェブサイト制作」などの専門スキルの交換も認められていますが、「コーチング⇔コーチング」の交換は「ピアコーチング(Peer-to-Peer Coaching)」と呼ばれ、セッション時間としてカウントが可能です。あくまでも報酬がコーチングであるという解釈なので、通常のクライアント同様に契約書を交わす必要があります

社内コーチング

自分の勤務先(雇用されている組織)内で実施するコーチングです。有償セッションとしてカウントするにはいくつかの条件があります。

  • 直属の部下(Direct Report)へのセッションは対象外
  • 業務の一環として会社が認識していること

アドバイスなどを含む1on1面談などは、コーチング経験としてはカウントできませんが、業務時間内(給料が発生している)におけるコーチングは上記条件を満たせばカウント可能です。

第三者向けコーチング

企業や団体など自分以外の組織から報酬を受けてクライアントをコーチングするケースです。

  • 研修会社から依頼を受けて社員にコーチング
  • コーチングスクール経由でクライアントとマッチング

などが該当します。

上述の通り、ICF規定の上ではコーチ同士の「ピアコーチング」も有償セッションとして認められています。ただアセッサーとして断言できることがあります。ACC以上に、ピアコーチングだけの実戦経験ではPCC合格は難しい、ということです。

理由はシンプルです。コーチは職業柄、問いを立てることへの感度が高く、オートクラインが回りやすい方が多いです。だからこそ、こちらの問いが多少曖昧でも、コメントがズレていても、セッションがなんとなく”良い感じ”に着地してしまうのです。これはコーチとしての力量が上がったのではなく、クライアントに補ってもらっているだけかもしれません。

私自身がコアコンピテンシーの本質を問い直せたのはいつも、コーチングを知らない一般クライアントとのセッションで、うまくいかなかったときでした。

ピアコーチングは補助的に活用しながら、一般のクライアントまたは社内でのコーチングなど「リアルな実践」を軸に据える。そうすることで、PCC資格取得のプロセスは、あなたがコーチとして真に成長する好機となるでしょう。

PCC申請のポイント②|録音を聴くアセッサーはどこを見ている?

PCCレベルで求められることには色々あり、メンターコーチングでも私の経験から様々なことをお伝えしていますが、個人的に大きくは以下の三つかなと思います。

  • 対応性(Responsiveness)
    守破離でいう守を求められているACCと違い、破となるPCCではあくまでも「クライアントが場に出したものに対応した関わり」を求められます。PCCマーカーを一つ一つチェックしているようなセッションは「パフォーマンス的な(Performative)」と呼ばれ、評価は下がる傾向があります。
  • パートナーシップ(Partnership)
    ACCでは対話の方向性をコーチがややリードするようなセッションでも合格できることがありますが、PCCでは「対話をクライアントと共に創り上げている」かどうかが見られています。どこから対話をスタートさせるのかや、何をさらに探求していくのかなど、一貫してクライアントに舵を委ねているあり方が求められます。
  • 物事よりも人に焦点を当てる(What versus Who)
    ACCに比べると、クライアントが持ち込む課題(What)に焦点を当てつつも、よりクライアント自身(Who)に光を当てる関わりが求められます。価値観やビリーフ、思い込みなどを扱うことで、目の前の課題だけではなく人生全体に変化を及ぼすような成長の支援ともいえるでしょう。

PCC申請のポイント③|自分なりのスタイルを模索しよう

私はPCC取得を目指していた2022年に、アメリカの「Coach U」にオンラインで通っていました。ICF創設に携わったトマス・レナードのコーチングスクールであり、所属講師の多くもICFのボードメンバーであったりアセッサーであったりと、コンピテンシーが溶け込んでいるようなクラス運営が印象的でした。

その中で何人もの、PCCとMCC資格を保持する講師のデモセッションを見る機会があり、「コンピテンシーの表現の仕方が本当に多種多様である」ことを実感しました。

その経験が軸となって、私のメンターコーチングではいつも、そのコーチなりのコンピテンシーの表現を一緒に探索することを重要視しています。

最後に|PCCへの旅は、あなたのコーチングスタイルを創る旅

PCCへの道のりは、人によってペースが大きく異なります。うまくいかないセッション、コンピテンシーと向き合う時間、自分らしい関わり方を模索するプロセス——その一つひとつが、コーチとしてのあなたのスタイルを少しずつ形づくっていきます。

ACCが「コンピテンシーを学ぶ旅」だとすれば、PCCは「自分のコーチングを創る旅」とも言えるかもしれません。

資格はゴールではなく、通過点です。プロセスを信じて、どうか旅を楽しんで。

この記事を書いた人

大原亜希

ICF認定PCCコーチ

強みや価値観をヒントに、ビジネスパーソンやクリエイターの「自分らしく働く&生きる」をサポート。大人の自由研究のように、正解のない問いを一緒に探求する対話をしています。

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