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ICF資格ACC取得へのプロセス|申請条件・費用と“自分らしい道”を見つけるヒント

私は現在、ICF認定アセッサーとして所属スクールでACC申請用セッションの審査を担当し、ACC取得を目指す方へのメンターコーチングを行っています。この記事では、申請条件やポイントに加えて、ログを審査する側の視点からACC取得のプロセスで大切なことをお伝えします。

※本記事は2025年3月時点の情報に基づいています。最新情報はICF本部のウェブサイトを参照ください。

この記事を書いた人

大原亜希

ICF認定PCCコーチ

プロコーチとして7年の経験を活かし、ビジネスパーソンやクリエイターを中心にコーチングを提供中。「自分らしく生きる」「強みを活かす」ためのサポートをしています。

ACCとは?|ICF認定資格の基礎知識

ACCとは「認定アソシエイトコーチ(Associate Certified Coach)」の略で、ICF(国際コーチング連盟)の認定するコーチング国際資格の一つです。世界的にも最も知られているコーチング資格であり、企業からのコーチング依頼や一般のコーチ紹介サービスなどでも、この資格の保持を求められることが日本でも当たり前になりつつあります。

ICFにはトレーニング時間や経験実績によって、3つの異なるコーチング資格があります。

資格名コーチ専門トレーニングコーチング経験
ACC(Asscociate Certified Coach)60時間以上100時間以上
PCC(Professional Certified Coach)125時間以上500時間以上
MCC(Master Certified Coach)200時間以上2500時間以上

ACCはプロコーチを目指す人にとっては登竜門となる最初の資格。コロナ以降「コーチ」と名乗る人は急増したものの、実際のコーチングの質には大きな差が生まれており、ICF資格は「世界基準のコーチング」を提供できるひとつの証として、近年取得を目指す人がとても増えてきています。

ACC取得に必要な条件

ACCの取得には以下の条件をすべて満たす必要があります。このうち、上4つは申請時に必要な要件であり、筆記試験は申請後に受験するプロセスとなります。

コーチ専門トレーニング(Coaching Education):60時間以上

任意のコーチ専門トレーニング機関で、60時間以上のトレーニングを修了する必要があります。ICFの認可を受けているコーチングスクールかどうかで、後述する申請方法がよりシンプルになることがあります。

コーチング経験(Coaching Experience):100時間以上

コーチ専門トレーニングの開始後、100時間以上のセッション経験を有している必要があります。またカウントできるセッションにはいくつかの条件があります:

  • 少なくとも75時間は有償セッションであること
  • 最低8人以上のクライアント
  • 少なくとも25時間はACC申請前の18カ月以内に提供していること

※有償セッションに関して、どういったセッションをカウントできるかは後程詳しく説明します。

メンターコーチング(Mentor Coaching):10時間以上

3カ月以上の期間にわたって、10時間以上の「メンターコーチング」を受ける必要があります。

  • 内3時間はメンターコーチとの1:1のセッションであること(7時間はグループメンターコーチングでもOK)
  • PCCまたはMCCレベルのICF資格保持者から受けること
  • ACC資格保持者から受ける場合は、最低1回ACCを更新済みのコーチであること

「メンターコーチング」とは?
ICFはメンターコーチングを、「観察されたセッションに基づくフィードバックを受けながら、ICFのコアコンピテンシーに沿ってスキルやスタイルを磨くための協働的なプロセス」と定義しています。ICFコンピテンシーを扱わないスーパービジョンや、日常の課題を扱う通常のコーチングはカウントできないので注意しましょう。

パフォーマンス評価(Performance Evaluation)

実際のクライアントとのコーチングの録音を提出し、審査に合格する必要があります。提出できる音源の条件はこちら:

  • 20~60分の長さで編集されていないこと
  • 有償または無償の実際のクライアントとのセッションであること
  • クライアントは、定期的なクライアントでない限りコーチではないこと(定期的なクライアントとは、コーチング以外の目的ではなく、純粋にコーチングを受けるためにあなたのもとに来た個人を指します)

筆記試験(Written Exam)

ウェブ上でICFのコアコンピテンシーを網羅する筆記試験に合格する必要があります。筆記試験は2種類から選べます:

  • ACC資格試験(ACC Credential Exam)
  • ICF資格試験(ICF Credential Exam)

「ICF資格試験」はPCCやMCCと共通のテストなのですが、「ACC資格試験」は2024年から運用が開始されたACC専用の試験となります。ICF資格試験が倫理規定やコンピテンシーを元にしたケーススタディを問うのに対し、ACC資格試験はより基本的な知識ベースのテストとなります。

※試験会場や試験の受け方について詳しくはICF本部サイトを確認するか、ご自身のメンターコーチに確認してみてください。
ACC資格試験について(ICF公式サイト)

ACC申請の3つの方法

ACC申請には、どのようなコーチング専門トレーニングを受けたかによって、以下の3つの申請方法があります:

Level1/Level2/ATCPパス
  • ICF認定の対象プログラム(Level1, Level2, ATCP)を修了した人向け
  • メンターコーチング(10時間)+パフォーマンス評価が含まれている
  • プログラム修了書と100時間のセッション経験で申請でき、審査もスムーズ

ACSTHパス
  • ACSTH認定プログラムを受けた人向け
  • メンターコーチングやパフォーマンス評価が含まれていないため、自分で別途完了する必要あり
  • プログラム修了書+100時間のセッション経験+録音を提出

※過去に受講したACSTHプログラムの提供団体が現在Level1プログラムに移行している場合、特定条件を満たせば「Level1パス」での申請が可能になる場合があります。詳しくはプログラムの提供団体にお問い合わせください。


Portfolioパス
  • ICF非認定プログラムや継続コーチ専門教育(CCE)単位を使って申請する方法
  • ICF非認定トレーニングの場合、ICF基準を満たしていることを示す「プログラム概要」を提出する必要がある
  • メンターコーチングやパフォーマンス評価もすべて自己手配
  • プログラム修了書(またはプログラム概要)+100時間のセッション経験+録音を提出

私はコーチングを学び始めた時にICF資格を視野に入れていなかったこともあり、CCEとICF非認可プログラムを積み重ねる形での「Portfolioパス」で申請しています。提供団体が「プログラム概要」や必要書類を準備してくれているケースもあるので、受講したのがLevel1やACSTHプログラムでなかったとしても、諦めずに道を模索してみてください。

▶どの申請方法が適切かについては、ICF本部サイトの「Education Search Service (ESS)」にて確認できます。ご自身が修了したプログラムの提供団体名を英語で入力すると、認定タイプが表示されます。

ACCの申請費用

ACCの申請にかかる費用は、申請方法やICFの会員であるかどうかで変わります。

申請方法ICF会員非会員
Level1/Level2/ATCPパス$175$325
ACSTHパス$375$525
Portfolioパス$475$625
※単位は$=アメリカドル

ICF会員の年会費は$245(2025年3月現在)です。ICFジャパンが開催するコーチングの勉強会に会員価格で出来るほか、英語がOKな方はICF本部のラーニングポータルにて様々なオンライントレーニングやセミナーを無料~安価な値段で受けることが出来ます。

ACC申請の第一歩|ICF申請書を作って「見える化」しよう

「申請に必要な条件がそろってから手続きを始める」という方が多いのですが、私のおススメは資格を目指すと決めたらまず、ICF本部サイトから「ICF認定資格申請書(ICF Credential Application)」を作成してしまうこと。

「ICF認定資格申請書(ICF Credential Application)」は資格申請者用の専用ページで、Excelのようなシステムに上記で解説した申請条件などが分かりやすく表記されており、自分があと何をクリアすればいいか簡単に「見える化」することが出来ます。

リンク先のページ途中にある「Take the Credential Path Survey」というボタンをクリックし、必要な情報を入力すると、簡単に作成することができます。

▶ご自身のコーチ専門トレーニングの種類について入力する必要があるので、分からない方は「Education Search Service 」で確認してみてください。

ACC申請後の流れ|結果が出るまでの期間と補足情報

ICFに申請書を提出後の流れはどのパスを通っていても共通で、「審査の完了」→「筆記試験(ACC資格試験またはICF資格試験の受験)」→「合格すればACC取得」となります。大きく異なるのは資格試験前の審査にかかる時間です。

申請方法審査にかかる期間
Level1/Level2/ATCPパス4週間
ACSTHパス14週間
Portfolioパス14週間

▶ACSTHおよびPortfolio申請書の結果通達までは基本14週間ですが、申請状況によりさらに時間がかかることもあります。最新の情報はICF本部ウェブサイトにてご確認ください。

審査が問題なく完了した場合は、その旨の通知と、ACCまたはICF資格試験の受験についてお知らせするメールがICFから届きます。また万が一パフォーマンス評価で不合格になった場合も、新たな録音を$150で再審査してもらうことが出来ます。

ACC申請のポイント①|100時間のセッション実践について

ACC取得を目指すコーチの方が、特に難しさを感じやすいのが「100時間のセッション実践」です。ICFの規定では、「コーチ専門教育を始めた後に行ったセッションが100時間以上」あり、そのうち「少なくとも75時間は、有償のセッションであること」が求められています。

まずは、これらの定義を確認していきましょう。

「コーチ専門トレーニングの開始後」とはいつ?

Level1やACSTH、CCEや非認定プログラムに関わらず、ICFは「30時間以上のコーチ専門トレーニング」の開始以降のセッションを100時間にカウントできると定めています。(30時間以上のプログラムを受ける前のセッションはカウント出来ないので注意しましょう。)

「有償セッション」としてカウントできるものは?

75時間の有償セッションにカウントできるものは主に以下の3つです:

クライアントからお金・対価をもらったセッション

クライアントと直接契約し、有償で行われるセッションです。

  • たとえ少額でもOK(1回500円とかでも問題なし)
  • 物やサービスとの交換(物々交換、スキル交換)もOK

「コーチング⇔ウェブサイト制作」などの専門スキルの交換も認められていますが、「コーチング⇔コーチング」の交換は「ピアコーチング(Peer-to-Peer Coaching)」と呼ばれ、セッション時間としてカウントが可能です。あくまでも報酬がコーチングであるという解釈なので、通常のクライアント同様に契約書を交わす必要があります

社内コーチング

自分の勤務先(雇用されている組織)内で実施するコーチングです。有償セッションとしてカウントするにはいくつかの条件があります。

  • 直属の部下(Direct Report)へのセッションは対象外
  • 業務の一環として会社が認識していること

アドバイスなどを含む1on1面談などは、コーチング経験としてはカウントできませんが、業務時間内(給料が支払われている)におけるコーチングは上記条件を満たせばカウント可能です。

第三者向けコーチング

企業や団体など自分以外の組織から報酬を受けてクライアントをコーチングするケースです。

  • 研修会社から依頼を受けて社員にコーチング
  • コーチングスクール経由でクライアントとマッチング

などが該当します。

ACC申請用のログを評価する立場として、一番伝えたいのは「リアルなセッションを重ねてほしい」ということです。実際に料金をいただいてセッションを行う機会が限られる中、最近はコーチ同士の「ピアコーチング」をメインに100時間に取り組む方が増えています。

学びの場としてはとても有効ですが、相手がコーチである場合、セッションが練習のような雰囲気になったり、100時間を重ねることだけが目的になってしまったりと、実際のクライアントとのセッションとは違ったプロセスになることがあります。

どんな相手であっても、
この時間は本当にクライアントのためになっているか?
と問い続ける姿勢が、コーチとしての実践力と成長につながるでしょう。

ACC申請のポイント②|録音を聴くアセッサーはどこを見ている?

ICFのパフォーマンス評価では、あくまでも「コーチの関わり方」が重視されます。クライアントの学びや気づきに、コーチはどのように貢献したのかということですね。

特にクライアントがコーチの場合などに起こりやすいケースですが、セルフコーチングが回りすぎる方だと、その分セッション内でコーチの関与が少なくなる傾向があります。録音を提出する前に、コンピテンシーが十分に表現できているかどうか、メンターコーチと一緒に確認するのがおすすめです。

ACC申請のポイント③|自分なりのスタイルを模索しよう

ICFのコア・コンピテンシーを表現できているセッションをやらなきゃ」と思えば思うほど、自分のコーチとしてのあり方に「迷子」になってしまったことはありませんか?

これ私自身もぶつかった壁でした。当時通っていたアメリカのコーチングスクールで、ICFのアセッサーもされているMCCコーチからの一言が、今でも印象に残っています。

Find your own style.(あなたらしいスタイルを見つけなさい)

コンピテンシーは元々、世界中の優れたコーチたちの実践例や知見を研究して作られたもの。ですからその表現方法にも、コーチそれぞれのスタイルがあって当たり前なんですよね。

「クライアント中心」であることを軸に、自分にとって自然でしっくりくるスタイルを模索していくこと。それ自体が、ICFがプロフェッショナルなコーチングにおいて大切にしている姿勢なのではないかと、今は感じています。

最後に|あなたのペースで、ACCへの旅のプロセスを楽しもう

ACC取得までには、少なくとも1~2年はかかると言われています。そのプロセスの途中では、中々スムーズにはいかない時期もあるのかもしれません。

コーチングのプロセスと同様に、ICF資格を目指すというチャレンジもまた「旅(Journey)」のようなものなのだと思います。

プロセスの中で出会うモヤモヤや喜びが、自分を知る力やコーチとしての成長の土台になっていきます。もしかするとその旅路こそが、資格そのものと同じくらい大切なことなのかもしれません。

「これで大丈夫?そう思ったことがあるあなたへ。」
▼ メンターコーチングの詳細はこちらから

コーチとして活動するあなたへ。ICF資格取得や実践の両面から、あなたの成長をサポートします。

この記事を書いた人

大原亜希

ICF認定PCCコーチ

プロコーチとして7年の経験を活かし、ビジネスパーソンやクリエイターを中心にコーチングを提供中。「自分らしく生きる」「強みを活かす」ためのサポートをしています。

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