「My point of view」は、旅先で出会ったことや日々の生活で気づいたことなど、私の世界の捉え方をエッセイ調で綴ったシリーズです。
「フランスで最も美しい村(Les plus beaux villages de France)」に認定されている南フランスの町ゴルド。公共の交通機関は平日にバスが一本あるだけ。観光に大人気の場所でありながら、バスを増やしたりしないのがなんともフランスらしい。
中心から少し離れた高台から見る景色は圧巻。リュベロン地方にはこういった鷲の巣村がたくさんあるけれど、外見だけでなく町の中も、中世のころのまま時が止まっているような気がする。
世界を旅することは、「新しい視点を手にいれること」だとつくづく思う。
日常を離れると、当たり前だと思っていたことがそうではなかったことに気づくし、すでに自分が持っているものに感謝できる。忙しい毎日の中で鈍っていた感性を、取り戻せる感じ。
フランスにいると、日本ではあり得ないことがよく起こる。
例えばバスの運転手が、小銭を持たずにバスに乗ったフランス人の男の子に「お釣りがないのに!」とガチでキレたり。田舎の村へ行くバスを待っていたら、運転手がこちらをちらりと見た後なぜか素通りしたり(私が手を挙げてアピールしなかったからだと後で分かった)。
「自己主張」をちゃんとしないと、この国で生きていくのは難しい。
でも、そんな状況を助けてくれるのもやっぱり人。男の子は結局、哀れに思った乗客達に両替してもらって事なきを得たし。私もまたバスの乗客の一人が、運転手にバスを停めさせて私を乗せてくれた。
自分の当たり前がここでは通用しない。見知らぬ人にも話しかけるぐらいの、コミュニケーション力は必須。でもなんだか、素のままで怒ったり笑ったりしてるフランス人を見てると、不思議と笑えてくる。
多分、もっと、シンプルでいい。
そういう視点もありかもって思わせてくれるから。