【12/21(土)】Re:Book~ひとつの物語から始まる対話の空間~「奉仕(Service)」

言葉通りを意味する ~Mean it literally~

「My point of view」は、旅先で出会ったことや日々の生活で気づいたことなど、私の世界の捉え方をエッセイ調で綴ったシリーズです。


リル・シュル・ラ・ソルグ=「ソルグ川に浮かぶ島」。そんな意味をもつ南フランスの小さな町に、日曜になるとたくさんの人が押し寄せる。

透き通った清流の流れる運河で囲まれたこの町のいたるところに、アンティークや南仏の雑貨、食品のマルシェが立つからだ。

フランスのマルシェがすごく好きだ。

スーパーと違って、お店の人とのコミュニケーション無しには成り立たないところがいい。フランス人はおしゃべりが大好きだから、こちらがフランス語を話せると分かると、自慢のチーズやオリーブについて熱く語ってくれる。


部屋に飾る向日葵がほしくて、花瓶が小さいから小さめの花が欲しいって言ったら、「短く切ったら大丈夫。どうせなら大きいの持っていきなよ」と一番綺麗に咲き誇ってる向日葵を選んでくれたり。


鶏の丸焼きと一緒にシャガイモのロティを買うときに、一番小さいのを頼んで「うわあ、すごくたくさん!」と言ったら、「少しだけでいいならおまけしたげる」と鶏の袋に無造作にジャガイモを放り込んでくれたり。

チーズ屋さんで「少しだけコンテチーズが欲しい」って言ったら、マダムにちょっと嫌な顔をされたり。


フランス人は良くも、悪くも、飾らない。私がフランス語を好きなのは、たぶん、そういうところから来ているんだと思う。

その言葉以上でも以下でもない。変に行間を読んだりしなくていい。

それゆえに口喧嘩が多いのも、彼らの愛すべき特徴のひとつだけど。

双眼鏡を覗く子供 「言葉にする」ことは、あなたの世界に何をもたらすか 「静寂(Silence)の時間」が生み出すもの