コーチングってなんだ?
「目標達成のためのスキル」とか「人間関係を改善するコミュニケーション」とか、様々な表現がされるコーチングですが、突き詰めると
「Who am I = 私は何者なのか?」
を探求し続ける「成長の旅」なのかなと私は思っています。

コーチングを提供する人を「コーチ」、コーチングを受ける人を「クライアント」、双方向の対話の時間を「セッション」と呼びます。3か月以上の契約をすることが一般的で、単発のサポートで劇的な変化を起こすものではなく、長期的な関わりの中で、クライアントの自己変容をサポートします。
コーチングのプロセスは時に「Journey(旅)」と形容されます。
「Trip(旅行)」は、ある目的のためにどこかへ行って帰ってくることを指しますが、「Journey(旅)」の場合はどこかへ辿り着くことよりも、その旅路の途中で得られる学びや気づき、成長などのプロセスを重視します。
「わたしは一体何者なのか?」という問いは、果てしなく探求していくもの。たった一つの本当の自分がいるのではなく、様々なチャレンジを重ねながら、新たな「わたし」の存在に気づくとき、人は本来の潜在能力を発揮できるのではないかと思うのです。
コーチングの定義
コミュニケーションが存在する場所なら、どこにでもコーチングが使われることから、その定義もコーチングスクールによって様々です。個人的には国際コーチング連盟(International Coaching Federation=略してICF)の定義が一番しっくりくるので、ちょっとだけご紹介。
ICF defines coaching as partnering with clients in a thought-provoking and creative process that inspires them to maximize their personal and professional potential.
International Coaching Federation
つまり、日本語に翻訳すると
コーチングとは
ー”Partnering with clients”
クライアントとパートナー関係を結ぶこと
であり、
その目的は
ー”to maximize their personal and professional potential”
クライアントの可能性を公私共に最大化させること
であり、
その手段として
ー”in a thought-provoking and creative process that inspires them”
クライアントの思考をインスパイア(刺激)し続ける創造的なプロセス
を活用する、ということになります。
セッションを通して、一人では見えない視点から物事を眺めたり、自分自身や世界を新たな角度から捉えなおすことで、その方が本来持っている力が発揮しやすくなります。
「パートナー関係(Partnering)」という言葉が示すように、コーチとクライアントの信頼関係はとても重要な要素の一つです。相性もありますが、関係性は双方向のやり取りで築かれるものですから、時間をかけてお互いに深めていくことが大切です。
コーチとクライアントの関係性
「ロードオブザリング」でも「ドラゴンクエスト」でも、何かを目指して旅する主人公の周りには、必ず『仲間』の存在があります。主人公の喜びや悲しみを一緒に感じ、立ちはだかる壁に恐れを感じるときは勇気づけ、主人公の力を、可能性を、誰よりも信じて一緒に旅する人達です。
コーチングの定義にある「Partnership(パートナーシップ)」という言葉のとおり、コーチとクライアントの関係性はフラット=対等であり、この旅の仲間に似ています。コーチはクライアントを前から引っ張るのでも、後ろから背中を押すのでもなく、その横を伴走して成長の旅をサポートします。

スポーツにおけるコーチをイメージすると、コーチとクライアントの関係は「先生と生徒」のようなイメージが浮かぶかもしれませんが、ビジネスや人生におけるコーチは何かを教えたりアドバイスする存在ではありません。
主人公はあくまでもクライアント。どの道を行くのか、何に挑むのか、何を手放し、何を持っていくのか——選ぶのはすべてクライアント自身です。
熟練のコーチとのセッションは、傍から見るとカジュアルな雑談のようにも見えます。自分を偽ったり飾ったりすることなく心から安心できる場だからこそ、ちょっと居心地の悪いことも話せる。それがこれまでの古いパターンを壊し、新しいパターンへとシフトするブレイクスルーへと繋がっていくのだろうと思います。
コーチングで得られるもの
コーチングを継続的に受けると、思考が整理される、ヤル気が起こる、それに伴い行動のスピードが上がるなど様々なものが得られます。これまでのクライアントさんの感想を聞いていても、私自身のクライアント経験から言っても、当初の目的を超える気づきや成長が手に入ったという方が多いように思います。
▼詳細は以下のページに詳しくまとめています:

コーチングが機能するための条件
コーチングはクライアントが「自分で考え、選択し、行動に移す」ことをサポートするもの。まず最初のステップとして、セッションで自分のことを率直に話すことが大切です。頭で考えたことを言語化し、それが自分の耳からもう一度脳に届くことで「オートクライン」と呼ばれる気づきが生まれやすい状態が起きるからです。
それ以外にも、コーチングが機能するためには目標達成への主体性であったり、自分とは異なる視点を受け入れるオープンさなどが求められ、それらの特徴を満たしている人は英語では「コーチャブル(Coachable)」と呼ばれています。以下の記事で詳しく説明していますので、これからコーチングを受けたいと考えている方は是非読んでみてください。
▼「コーチチャブル」についてさらに詳しく:

コーチングにおけるコーチの役割
コーチングにおけるコーチの役割は、質問を通じて視点を変えたりフィードバックをしたりする「スキル」に注目されがちですが、実際には「コーチのあり方」がセッションの質に大きな影響を与えます。同じ言葉でも、誰が言っているのか、どの立場から言っているのかで、受け入れやすさが大きく変わることありますよね。
多くのプロのコーチは、自分自身にもコーチをつけて日々成長し続けています。クライアントと向き合うためには、自分自身を深く理解し、葛藤や失敗を通じて「自己基盤を強化する」ことが必須です。これにより、クライアントにとって本当に価値のあるセッションが提供できるのです。
▼コーチの役割についてさらに詳しく:

コーチングのセッションの流れ
コーチングセッションは10~15分程度の短いものから、60分、90分とやや長めのものまで、クライアントのニーズによって様々なスタイルがあります。どのような長さであれ、クライアントとコーチの対話の骨格となる流れは基本的には同じです。
- チェックイン
- テーマの確認
- セッションゴールの合意
- テーマについて探求
- アクションプランの設定
- クロージング
とはいえ、あくまでもこれは「基本の型」。コーチングは音楽で使われるのと同じ「セッション」という表現のように、その場でクライアントとコーチが織りなしていくライブ感のあるものです。
クライアントがセッションの基本の流れをおさえているとスムーズさに繋がることもありますが、実際のセッションはもっと多様でクライアントやテーマに合わせて常にカスタマイズされています。
▼セッションの流れについてさらに詳しく:

コーチングのテーマの選び方
コーチングのセッションの中で扱う課題を『テーマ(又はトピック)』と呼びます。
どんなことでも、クライアントが話したいと思うことを扱えますが、初めてコーチングを受ける方はあまりの自由さに戸惑うこともあるようです。以下の記事に、テーマの選び方についてまとめていますので参考にしてみてください。

コーチングとコーチングでないもの
対人支援サービスには、コーチング以外にもカウンセリングやコンサルティングなどがありますが、その明確な違いはあまり知られていないかもしれません。完全に白黒はっきり分けられるものではないものの、自分のニーズに合わせて的確なサービスを選ぶためにも、それぞれの特徴は押さえておきましょう。
シンプルに言うならカウンセリングはマイナスを0に戻すもの、コーチングは0を1(またはそれ以上)にするものです。そのためカウンセリングではインナーチャイルドを扱ったり「癒す」ことに、コーチングでは目標達成など「変容」に目を向けます。
カウンセリングは過去、コーチングは未来に焦点を当てる傾向があるのも、違いのひとつです。一般的にコーチングは心身ともに健康な人が更なるパフォーマンスを発揮するために行うものであり、カウンセリングは心身が弱っている状態の方が本来あるべき状態に戻れるように行うものです。
この二つの大きな違いは答えのある場所です。コーチングでは答えはクライアントの中にあり、コンサルティングの場合は解決策を提示するコンサルタントの中に答えがあります。
またコーチングがクライアントの価値観や成長など「個人」に焦点を当てるのに対し、コンサルティングは「成果」そのものにコミットします。
コーチはクライアントが自分で課題を超えていけるようサポートするため、アドバイスは行いませんが、コンサルタントはクライアントの問題解決が仕事なので、専門的な視点からのアドバイスを行います。
▼それぞれの違いについてさらに詳しく:


コーチングがおススメの人
コーチングは心身ともに健康な方なら、どなたでも受けていただけますが、特に以下のようなニーズをお持ちの方におススメです。
- 自分らしいやり方でチームをマネジメントしたい
- 強みも弱みもありのままの自分を認めて成長したい
- やりたいことや叶えたい夢があり、最初の一歩を踏み出したい
- 起業や転職を考えており、自分の価値感をもっと明確にしたい
- 現状には十分満足しているが、よりウェルビーイングを上げたい
- 自分がより納得できる選択をして、自分らしく生きたい
- セルフマネジメントができるようになりたい
- 現在コーチングを学んでいる
- 現在コーチングを提供している(コーチの方)
コーチングは問題解決だけでなく、課題やチャレンジに取り組むものです。パフォーマンスの質やスピードを向上させ、自己理解や自己肯定感を深めることで、人としての成長を促進しますから、特に現在問題がなくても向上心がある方には常にお勧めできるプロセスです。
コーチング以外のサービスがおススメの人
様々な効果が期待できるコーチングですが、とはいえコーチングは何でも叶えられる魔法ではありません。クライアントのニーズによっては、コーチング以外のサービスを利用するほうが、必要なものを手に入れられる場合があります。
◆心身に不調のある方
鬱病などを患っている方はもちろんですが、
・考えたり、自分の話をするのがしんどい
・全てにヤル気が出ず面倒くさいと感じている
・とにかく楽になりたい
という方は、コーチングを受ける前に、まず心療内科など専門家に相談することをお勧めします。
コーチングはそのプロセスの中で「ありのままの自分」と向き合うことを求められるため、時に痛みを伴います。心と頭の筋トレをするイメージです。精神的に弱っている時は心が風邪を引いている状態なので、そこで筋トレを行うと、症状が余計に悪化してしまうことがあります。
Coaching Labo LIBERTEではコーチングを提供するのは適切ではないと判断した場合には、セッションをお断りすることがあります。
◆アドバイスが欲しい人
・自分の進み方について自分では決められない
・失敗したくないのでアドバイスがほしい
・早く簡単に成功する方法が知りたい
・「どうしたらいいですか?」が口癖
こういった場合には、コーチではなくコンサルタントをつけたほうがいいかもしれません。「どうしたらいいですか?」と質問をした場合、コーチから返ってくるのは「あなたはどうしたいのですか?」です。コンサルタントの場合は、専門家としてアドバイスや提案が得られるでしょうから、ご自分のニーズに合ったサポートを選びましょう。
近年ではコンサルタントの方でも、積極的にコーチング的アプローチを取り入れている方もいらっしゃるので、色々探してみてください。
コーチの選び方のポイント
コーチを選ぶ際、得意分野やセッション料金など様々な条件があると思いますが、人と人の関係性から生まれるプロセスであるコーチングにおいては、「コーチとの相性」が一番の要になるかなと個人的には思っています。
▼詳しくは以下の記事で説明しています:

SNSで外界とのコミュニケーションは便利になった一方で、自分との対話が疎かになりがちな今。コーチングを通じて、自分自身と向き合う時間を持つことは、心から納得のいく人生を歩むためにとても価値のあることです。
まだ見ぬ自分とその先に広がる可能性を求めて、あなたもコーチングの旅を始めてみませんか?
