この記事ではストレングスファインダーの34資質のひとつ、「コミュニケーション(Communication)」の持つ世界観やその活かし方について書いています。
コミュニケーションは語る
この資質の特徴は何と言っても話すのが好き、ということ。小さい頃、学校で「おしゃべりを止めなさい!!」と先生によく怒られていた、という人もいるかもしれません。
コミュニケーションは自分が感じていることや、見たり聞いたりしたこと、過去の体験談などを言葉にして伝えることが得意です。彼らが話し始めると、そこにはなんというか不思議な魅力があって、つい周りも耳を傾けてしまいます。
人前で話すことも嫌いではなく、急に話を振られてもスラスラと頭に浮かんだことを話し始めることができる、とてもユニークな才能です。
傾向としては話すのが得意な人が多いですが、中には書くことが得意な人もいます。どちらにせよ、言葉で表現する天才であることは間違いありません。
コミュニケーションは選び出す
One of the basic facts about language is that no word ever means exactly the same to two different people.
言語に関する基本的な事実の一つは、二人の別々の人間にとってまったく同じことを意味する語などないということだ。
ールドルフ・フレッシュ
コミュニケーションの話が魅力的な理由のひとつは、優れた言葉選びのセンス。「自分の話を相手に分かってほしい」という欲求をもっているため、どんな言葉なら伝わりやすいかを瞬間的に選んで話します。
言葉選びに関しては、人一倍敏感です。単語であれ、助詞であれ、その言葉が相手に与える影響を、良く知っています。例えば「これがいい」「これでいい」のような、繊細なニュアンスをキャッチすることができるのです。
言葉というのは、私たちが幼いころから学校で学んだもので、誰もが同じ言語を話していると信じています。ですが実際のところは、それぞれが自分だけの辞書を持っていて、解釈の違いに気づかずにすれ違いが起きることがあるのです。
コミュニケーションは どんな言葉なら、相手に影響を与えることができるかを、誰よりも知っています。相手や場に合わせて、一番しっくりくる、分かりやすい言葉を、選ぶことができるのです。
コミュニケーションは命を吹き込む
コミュニケーションが話している時って、本当に不思議なのです。ただの日常の出来事がとても魅力的なストーリーに聞こえたり、本を音読するときでさえ、物語の景色がすぐ目の前にありありと浮かぶような感じさえします。
ただの言葉の繋ぎ合わせでは無くて、そこにフッと命が吹き込まれて、ずっとカラフルに世界を表現することができるのです。コミュニケーションが話している時は、物事がただの事実の説明から、ストーリーに変わります。
ストーリーは人の心に残ります。ストーリーの中には、人の感情の動きや、風景の描写があって、聞いている人がイメージをしやすいのです。共感したり、そこからインスパイアされて新たな気づきを得る、といったことが起こりやすい。
プレゼンが得意、というイメージから、コミュニケーションは一方的に話す印象が強いかもしれません。でも、彼らは聴き手を必要としています。相手の驚きや、感動や、様々な反応が、コミュニケーションの才能をより輝かせます。相互に作用しているのです。
自分の語るストーリーが、誰かの心を動かしているのが見える。それはコミュニケーションにとって、エネルギーが満ちる瞬間です。
コミュニケーションは透明にする
Eloquence is the power to translate a truth into language perfectly intelligible to the person to whom you speak.
雄弁とは真実を相手が完全に理解できる言葉に翻訳できる能力である
ーラルフ・エマーソン
「沈黙は金」ということわざは、コミュニケーションの世界では成立しません。むしろ黙っていることは、多くの誤解を招くことがある。それならば、自分が感じていることを相手に伝えるほうが、人と人の関係は成り立っていく。 そう、コミュニケーションは考えています。
この資質がもたらす価値のひとつは「Transparency(透明さ)」です。
生きていると、「これってどういうことなんだろう?」と、疑問を感じることに出会います。でも多くの場合、その不明瞭さは置き去りにされ、多くの問題を引き起こしています。
コミュニケーションは、そのぼんやりした物事を言葉で表現することによって、場に透明さをもたらします。
才能が未熟な状態だと、なんでもかんでも透明にしてしまって、口にした後で「あ、しまった!」となることがあるかもしれません。開花しているコミュニケーションは、透明にするものを選択します。それは例えばチーム内の関係性であったり、誰かの強みであったり、組織の目指すゴールだったりするでしょう。
コミュニケーションで世界を描く
Language is power, life and the instrument of culture, the instrument of domination and liberation. Angela Carter
言語は力であり、命であり、文化の楽器であり、支配と自由の楽器でもある
ーアンジェラ・カーター
コミュニケーションの最大の強みは、言葉にインパクトを持たせられることでしょう。組織でも、日々の生活の中でも、伝えなければいけないメッセージ、というのは存在しています。
言葉には力があります。誰かを癒し、包み込み、勇気を与える翼になることもあれば、誰かを傷つけ起き上がれなくしてしまう刃になることもある。
コミュニケーションの言葉には、世界を動かす力があります。見えにくかったものを鮮やかに描いたり、物事に宿るメッセージを伝えることによって、その言葉に触れる人々を動かすことが出来るのです。
どうかその類まれな才能を、誰かの心を、誰かの世界を、そして何よりも自分自身の世界を、よりカラフルに描くことに使ってほしいと思います。コミュニケーションの放つ言葉には、相手を癒し、奮い立たせ、勇気づける力があるのですから。
世界の物語を、誰よりも鮮やかに紡ぐコミュニケーション。
わたしが愛してやまない世界の一つです。