>>>【5/19(日)】「メタファー」を通してクライアントの世界観を探求する~ICW2024~

コンフォートゾーンを広げる「成長の4つの領域」

コンフォートゾーンの4つの領域

「成長したいですか?」
そう誰かに問われたら、あなたはなんと答えるでしょうか?

「もちろん!」
があなたの答えなら、「コンフォートゾーン」について知っておくといいかもしれません。

コンフォートゾーンは、心理学などで使われる用語です。イギリス人の知人が英語版の上の図をシェアしてくれたのですが、2019年10月現在、日本語訳されたものが無いようだったので翻訳してみました。人の成長の4つの段階が、とても上手く表現されているなあと思います。

「自分に変化を起こしたい」「もっと成長したい」と感じている方は、ヒントになることがあると思うので、是非読んでみてください!

安心の領域(コンフォートゾーン)とは?

昔々、私たちが野山に暮らしていた頃。住んでいる洞窟は安全な場所で、その外側、狩りに出る森や草原は敵がいる危ない場所でした。
「ここにいると安心」
そういう空間を、私たちは昔から知っていたように思います。

コンフォートゾーン(Comfort zone)
コーチングや心理学などで用いられるコンフォートゾーンとは、私たちが「安心できる/自分のコントロール下にある」と感じられる領域を指しています。

例えばいつものお店や道、家に始まり、いつものやり方、いつもの人々など。自分に馴染みがあって、心地よく感じられる空間。これがコンフォートゾーンと呼ばれるものです。

人は「変化を好まない」生き物だと言われていますが、それは変わらないこと=安心できることだから。少し意外に聞こえるかもしれませんが「早起きできない」や「転職したいけど勇気がでない」なども、変わることよりも同じ状態に留まることの方が安全だと、脳は判断しているんですね。

コンフォートゾーンがあることそのものは、私たちが生きていく上で重要な意味を持っています。心理的安全が保たれるため、神経をすり減らすことなく心の健康を保つことが出来ますし、物事が無意識レベルにルーティン化されることで、効率性も高まります。

その一方で、コンフォートゾーンは人の成長を阻むことがあります。同じことを繰り返す、この安心な領域の中には「変化」がありません。成長とは変化してくことだから、ここに留まっていると、安心ではあるけれど成長することも出来ないのです。

コンフォートゾーンを超えて成長をしていくとき、次の3つの段階があると言われています。

  • 恐れの領域(フィアーゾーン)
  • 学びの領域(ラーニングゾーン)
  • 成長の領域(グロウスゾーン)

順番に説明していきます。

恐れの領域(フィアーゾーン)

生まれた時から一度も洞窟を出たことが無いという人にとって、洞窟の外は未知と恐怖の世界だったことでしょう。どこで水が手に入るか分からない、何日も食べれないかもしれないという不安。勇気を出して一歩踏み出してみたけれど、聞いたこともない獣の咆哮に恐れおののいて、洞窟にとんぼ返りすることもあったかもしれません。

例えば新しく社会人になったり、転職したり、起業したり。何か新しいことを始めるときって、不安になったり、自信が無かったりします。

コンフォートゾーンを抜けて最初に出会うのは、この「恐れの領域(フィアーゾーン)」です。慣れ親しんだものから離れて新しい環境に行くと、とても居心地が悪く感じることありますよね。知らないものがたくさんある場所で、人は不安になる生き物です。

この領域にいるとき、人は自分に自信をもてず、コンフォートゾーンに戻るための言い訳を探そうとします。
「どうせやっても無駄だから、やめておこう」とか。
「私にはまだ早いから、また今度にしよう」とか。

「安心したい」というのは、人の基本的な欲求ですから、これはとっても当たり前のこと。
私も初めての場所でのワークショップや新しい人に出会う時は、少し不安になったりします。 「えいやっ!!」って、跳びこむ感じですいつも。

また、「~したほうがいい」「~すべきではない」のような、周りの人の意見に影響を受けやすい、という特徴も現れます。自分がよく知らない場所で、周りにいる人達から「危ないから洞窟に帰ろう」って言われたら、そりゃ一緒に帰りたくなりますよね。

大切なのは、この領域は一時的な場所であるということ。怖れから目を背けず真っ直ぐに見つめ、地道に一歩ずつ前に進むことを繰り返すとき、やがて次の「 学びの領域(ラーニングゾーン) 」へと到達している自分に気づくはずです。

学びの領域(ラーニングゾーン)

洞窟の外に出るということに慣れ、世界を探求する余裕が出てくると。どこに水場があるか、どこで果物が取れるか、新たな情報が手に入り始めます。どのように狩りをすれば獲物を仕留められるのかなど、変わらず問題はあったとしても、それは洞窟の中にいた頃とは別次元のものでしょう。

学びの領域(ラーニングゾーン)は、その名の通り、学びと経験が得られる領域です。

始めは不安に思えたことも、新しい学びや経験を得ることによって、それは次第にコンフォートゾーンに変わっていきます。輪の境界線がどんどん外側に大きくなっていくイメージで、自分が安心できる領域が広がるんですね。それは新しい課題やチャレンジに挑む勇気や、確かな自信を生み出してくれます。

新しい職場でひととおりの仕事に触れ、一緒に働いてる人とも馴染みになると、新しいプロジェクトに参加する意欲が湧いたり、活動の場が広がっていきますよね。会社に限らず、プライベートでも同様です。新しい趣味を始めたり、新しい場所へ出かけていくとき、生きている世界が広がり、色んなことに挑戦することが容易になります。

もちろん学びの領域の中でも、新たな課題は出てくるでしょう。コンフォートゾーンの境界が広がるということは、恐れの領域がまたその外側に出来るということでもありますから。ですが、「自分はこれまでにも境界線を越えてきた」という経験が、前に進むことを助けてくれるように思います。

海外に留学したり暮らした後には、国内での引っ越しは小さな変化に感じられます。コンフォートゾーンが広がれば広がるほど、その内側にある些末なことにはもはや不安を抱かなくなるという特徴もあるでしょう。

成長の領域(グロウスゾーン)

大昔の人々がこんな思いを馳せていたかは分かりませんが、「俺もいつかマンモスを仕留める」「いつかこの大きな水たまりの向こうの大陸に行きたい」のような夢を抱いていたとしたら、なんだかつい微笑んでしまいます。自分なりの明確な目標を持って日々を暮らすとき、それはとてもワクワクする充実した時間だったのではないでしょうか。

成長のプロセスの最終段階は、成長の領域(グロウスゾーン)です。

ここにいるとき人はとても自由で、「自分は何のためにこれをやっているのか」という目的をしっかりと認識出来ています。失敗やリスクを恐れずに自分の限界に果敢にチャレンジする力があり、また少し難しい課題にも積極的に踏み出していくことで、さらなる学びと成長の機会を自分自身に作ります。

組織で言うならば、上から降りてきた目標を達成するだけの受け身な姿勢ではなく、自分なりの「こんなチームにしたい」「こんなことを実現していきたい」というビジョンを持ち、それに向かって挑み続ける主体性が見られます。

もしかすると「自分の人生のミッション」に気づいているという人もいるかもしれません。ちょっとやそっとのことでは折れないレジリエンス(回復力)がありますし、ここまでの旅路を支えてくれた他者への感謝を忘れない人が多いという印象もあります。

コンフォートゾーンを出るかどうかで何が変わるのか?

他者の学びや成長のサポートをしている私のコーチとしての性質上、つい「コンフォートゾーンを出ようぜ!」みたいなノリになっちゃうのですが、じゃあ「コンフォートゾーンは出ないといけないのか?」という問いについては「場合による」と思ってます。

特に今メンタルダウンしている人は、無理にコンフォートゾーンを出ようとするとかえって苦しくなっちゃうこともあるんじゃないかなと。もし仮に一つのコンセプトして役立つのだとしたら、洞窟の例で言う「このヒドイ咳の原因は洞窟の中に生えてるキノコだった」みたいなケースはあるかなと思うのです。

つまり今自分がいる環境が、自分の状態にかなりの負の影響を与えている場合。そういう時には「洞窟を出て冒険する」みたいなことにチャレンジしないまでも、「他の洞窟を探す」ことが助けになることもあるかもしれないですね。

で、ここからは心身ともに健康だけど「前ほど仕事にやりがいを感じられない」「少し飽きを感じている」みたいな方にお話ししたいのですが、コンフォートゾーンを出るかどうかって、けっこう大きな違いが生まれるんじゃないかと感じています。

例えば「ストレスや不安への耐性」や「創造性のレベル」、「チャンスの数」など、字面だけ眺めてもより良い人生を生きる上でけっこう重要なポイントになってくることが多いのではないかと。

詳しくは以下の記事でまとめています。

コンフォートゾーンを出るかどうかは、私たちにどんな影響を及ぼすのか

コンフォートゾーンを出るとき助けになるもの

人が成長するときは、一番左のコンフォートゾーンから、一番右の成長の領域へと進みます。その時一番難しいのは、「恐れの領域(フィアーゾーン)」を抜ける最初のステップです。

私たちは誰でも小学校から中学校に上がる時であったり、学生から社会人になる時であったり、「コンフォートゾーンを出る」という経験をしています。ただそれは「自分が出たくて出る」というよりは、「出ざるを得ない状況が発生する」という、外的要因によるもの。

大人になってからの新しいチャレンジは「転職する」や「海外に行く」など、「コンフォートゾーンを出ても出なくてもよい」という選択の自由があるからこそ、返って難しい部分があるのかもしれません。

もしあなたが「それでも、是非コンフォートゾーンを出て成長したい」と思っているなら、以下三つのコツをヒントにしてみてください。

一つ目のコツは、「とても小さな変化を設定すること」。
チャレンジしようとしていることが大きければ大きいほど、私たちはより大きな恐れを感じます。そうするとコンフォートゾーンを出ないもっともな理由を探したり、自分がやりたいことを心の奥底に眠らせたりしてしまうのです。

まずは自分の夢や目標に細かくして、小さなマイルストーンを設定する。そうすれば前に進んでいると感じやすくなりますし、小さな成功体験を繰り返すことで自信にも繋がります。

そして二つ目のコツは、「誰と一緒にいるかを選ぶこと」。自分の周りにいる人たちが、コンフォートゾーンに居続けようとする人であるとき、最初の一歩を踏み出すのはとても勇気がいるはずです。なぜならあなたがやろうとしていることは、そのコミュニティの中ではとても「異質」に見えるはずだから。

自分と同じようにコンフォートゾーンを出ようとしている人、学びや成長を楽しんでいる人を見つけ、彼らと過ごす時間を増やす。人は一緒にいる人に影響を受ける生き物です。常に新しいことにチャレンジしている人達に囲まれていれば、モチベーションを保ちやすくなりますし、諦めそうになっても「仲間」の存在が自分を奮い立たせてくれるでしょう。

最後に三つ目のコツは、「他者のサポートを得ること」。第三者の視点があることの最大のメリットは、自分では気づかない盲点や新しい視点を得られることです。また自分との約束は中々守れなくても、誰かに「やります」と言ったことは出来る、という方もいるでしょう。モチベーションの維持にも効果的かと。

転職の場合なら信頼できるキャリアカウンセラーの方にお会いすることかもしれませんし、ダイエットなら専門のトレーナーの方にお願いするのもありでしょう。

もちろんコーチングも様々なテーマでのサポートが得られますので、次の項でちょこっとだけご紹介します。

コンフォートゾーンとコーチングの関係性

コンフォートゾーンを出ることとコーチングの関係性はかなり深く、「恐れの領域」「学びの領域」「成長の領域」全てのプロセスでコーチのサポートが役立ちます。

例えば「恐れの領域」において、「そもそも自分が何を恐れているのか」をコーチとの対話を通して探求していく。人は「恐い」と思った瞬間に、目を背けたり瞑ったりしてしまうもの。でも本当は「得体のしれないもの」が一番恐かったりするんですよね。幽霊かもしれないと思った影が、自分自身の影だと分かった瞬間、ホッとすることあるじゃないですか。

自分の中にある恐さや、言い訳や、もっともらしく思える他者の意見。それらをテーブルの上に並べて観察してみて、改めて「で、あなたはどうしたいの?」と自分の心の声を聴く。ちゃんと目を開けて見てみると、恐さって減ったり無くなったりするから、面白いですよね。

「学びの領域」にいるなら、飛び込んだ新しい世界で生まれる新たな課題やチャレンジをテーマとして扱い、コーチとより良い戦略を一緒に練っていく。起こした行動から何を学んだのか、どんな気づきがあったのかを言語化していくことによって、人生全体に活かせるような「知恵」として、経験を昇華させることもできるでしょう。

「成長の領域」の表に並んでいる「夢を実現する」「ゴールを設定する」「自信がある」などは、まさにコーチングを体現したような言葉かもしれません。もちろん一人でも出来なくはないですが、コーチと一緒により明確で具体的なゴールを描いたり、自分の現在の思考を越えたレベルでの夢を実現していくことで、プロセスをより促進できるのではないかと思います。

学びと成長はコーチングにおいて最も大切なものであり、その要となる「自己基盤」はよく「器」にも例えられます。もしかすると「コンフォートゾーンを広げていく」ということは、より器の大きい人になっていくということなのかもしれないですね。

コンフォートゾーンとストレングスファインダー

コーチングや研修等で活用されている才能育成ツール「ストレングスファインダー」。才能の定義が「無意識の思考・感情・行動のパターン」ですから、自分のコンフォートゾーンを知るにはもってこいのツールです。コンフォートゾーンを出る妨げになる自分のクセや、反対に出ることを助けてくれる自分の強みを認識するのにも役立ちますから、成長の旅のお供に持っておくのもアリかも。

ストレングスファインダー34資質の世界 「ストレングスファインダー」について

コンフォートゾーンを出て冒険を始めよう

幼い頃、兄の横でいつもファイナルファンタジーやドラクエなど、RPGゲームをプレイしているのを見るのがとても好きでした。最初の頃は生まれ育った故郷の村しかない世界地図で、周りは未知の場所だらけだったのが、少しずつ行ける場所が増えて、霧が晴れるように全容が見えてくるんですよね。

その旅路には、ワクワクや達成感や喜びだけでなくて、傷ついたりジレンマを抱えたり諦めそうになる瞬間もあったと思うのです。それでも前を向いて進み続けるうちに、少しずつ強くなって、自分の世界がさらに広がっていく。コンフォートゾーンを出るということは、そんな旅の繰り返しなのではないでしょうか。

人は人生という冒険の旅をするために生まれてきた
私はそんな風に思ったりします。

一度きりしかない旅をあとで後悔することがないように、不安もワクワクも思いっきり楽しんで、色んなことを経験出来る時間にしたいですね。

ーLife begins at the end of your comfort zone.
人生はコンフォートゾーンの終わりから始まる。(Neale Donald Walsch)

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