【10/19(土)】Re:Book~ひとつの物語から始まる対話の空間~「不確実性(Uncertainty)」

自分を大事にするということ

「自分を大事にするにはどうしたらいいのか、分からないんですよね。」
という質問をクライアントから受けました。
ああ、2年前私も同じことを考えていたなあ。。。

私もまだまだ、だけれど、「自分を大事にする」うえで今大切にしていることを、言葉にしてみます。

他者を満たすのは、自分を満たしてから

私が以前働いていた職場では、「誰かのために」が称賛されるような社風がありました。
もちろん、顧客のため、同僚のため、上司や部下のために働けることは、とても素晴らしいこと。
でも、当時の私には決定的に欠けていた視点がありました。

それは
「誰かを満たすには、まず自分が満たされていないと出来ない」

ということ。

自分をおろそかにして、誰かを満たすことだけをしていると、人の心の泉はやがて枯れてしまう。
誰かの喜ぶ顔を見ることで、泉がすこしだけ湧き出ることはあるでしょう。
でも、それは無限に湧き続ける泉ではなく、メンテナンスが必要な泉なのです。

まずは自分を満たすこと。
仮にあなたが誰かの役に立つのが本当に好きでやりがいがあるとしても、それは外せないプロセスだと思います。

心の声を聴く

私も、2年前までは「自分を大事にする」ことが分かりませんでした。
自分を最優先にすることは、どこか我儘であるような、自分勝手な気がしていたのだから。

今自分を満たすうえで、私がとにかく大切にしているのは、
自分の心の声を聴くこと」。

例えば気分転換に旅行に行きたいと思ったとします。
「でもな、お金がかかるしな」
「でもな、時間とるの大変だしな」

そして、旅行に行けない理由を探し始める。
このとき、脳で何が起こっているでしょうか?
極端に言うと、あなたにはお金や時間をかける価値が無い、と自分に言い聞かせているようなもの。

2年前それに気づいた私は、徹底的に自分の心の声を聴くことにしました。
特に「どうしたいか」「どうしたくないか」に耳を傾け、さらに実際に行動に起こす。
ネット上で流れてきたどこかの写真が綺麗でそこに行きたいと思ったら行くし、雑誌で見かけた舞台を見に行きたいと思ったら予約する。

とにかく自分の声を無視しない。
そして少しずつ心の声が聴こえるようになってきたら、今度は他者と関わる場面で、自分に尋ねるようにしました。

「私は本当は相手に何を言いたいのか」
「私は本当はこの関係をどうしたいのか」

私は昔から人の相談事を受けることが多かったのだけれど、前を見ようとしない愚痴は、私をただただ疲れさせることが分かっていました。
以前は相手の「聴いてほしい」という気持ちが分かってしまうから、中々断れずにいました。
でも今は、前向きな、どこかに進みたいという相談は聴くけれど(コーチングは正にこれ)、そうではない時は断るようにしています。
だって、自分の心が苦しがるのが分かるから。

そして「きっと相手はこうしてほしいだろうな」と、誰かを自分よりも優先しそうになるときも、自分に問いかけます。
「あなたは本音ではどうしたいの?」

自分の心の声を聴くことをおろそかにしていると、次第に自分の心の声は小さくなっていきます。
それはまるで、どうせ話しても上司には聴いてもらえないから、と声を潜めてしまう部下のよう。

自分の心の声を聴く練習は、日々やる必要があるのです
「夕飯、何を食べたい?」という小さなことから、始める必要があります。

自分を守れるのは自分だけ

二年前に私が現場を引退した時、色んな人から「勿体ない」「自分の店を出してはどうか」と、様々なアドバイスをもらいました。
私はその時、自分を大事にするためにもう現場には戻らない、と決めていました。
ヘルプで一日入るぐらいならともかく、朝から晩まで立ちっぱなしで休憩時間もあまりとれない肉体労働で、自分をいじめるのはもう止めようと思ったから。(職人の現場がヒドイという話ではなく、年齢と共に体力の限界はあるよという話)

実は、自分と対話をしていない人ほど、誰かの人生に口を出したがるのかなあと思ったりします。
一度やると分かるけれど、自分との対話はけっこう忙しいので、良い意味で人のことにかまっていられなくなる。

アドバイス、というのは非常に無責任なものである、と私は思っています。
それによって上手くいかなくても、相手はその責任をとるわけではない。
自分の選択に責任をとれるのは自分だけ。

にも関わらず、自分の心に耳を傾けていないと、ひとは相手の言っていることを正解だと思ってしまう傾向があるようです。

他者の声の価値 > 自分の声の価値

この図式が出来てしまう。

私自身も自分が大切にしていることをこうやって書いています。
私にとっての正解だけれど、それがあなたにとっての正解かどうかは分からない。

他者の声というのは、選択肢のひとつとして扱うべきなのではないかしら。
あなたを守れるのは、あなただけなのだから。
あなたの人生を創るのは、あなたしかいないのだから。

大切な人のように、自分を扱う

あなたには今、大切な人がいますか?

もしそのひとが仕事ですごく疲れていて、「少し休みたい」と言ったら、あなたはどうする?
美味しいものを作って、気分転換に旅行に連れだしたりしないかしら?

ではその人が「自分は全然ダメだ」と言ったら?
「そうだそうだ、本当にダメなやつだ」なんて、さらに追い込んだりする?
むしろ「あなたは毎日本当に良く頑張っていると思うよ」と、ハグしたりしないかしら?

もしくは、その人が仕事で大きな失敗をしたら?
「なぜ、最初に気付かなかったの?」と相手を責めたてたりする?
「失敗は誰にでもあること。次に繋げれば良いじゃない」とか「チャレンジしたのはすごいことよ」と、励ましたりしないかしら?

あなたは今、それと同じことを自分自身にしてあげている?

世界で一番近しい存在は、自分。
一生付き合っていくのは自分。
それなのに、どうしてそんな大切な存在を大事にしないんだろう。
無視したり、責めたり、頑張りが足りないだなんて、言ったりするんだろう。

大切なひとにするように、自分を扱うこと。
自分の大切な人が同じ状況にいたら、どんな風にするか考えてみること。

そうすると、あなたの内側にある泉からは、また水があふれ出すのです。

ひとりではなく、誰かと

自分を大事にするプロセス、というのは、自分一人でやるのは中々に難しいものです。

私はたまたまその途中でコーチングと出会いました。
セッションの度に「どうしたいのか」「どう感じているのか」しつこく、何度も、尋ねられることで、自分の心の声を聴くことを覚えました。
セッションに限らず、それ以外の会話でも常に「自分は本当はどうしたいのか」自分に尋ねるようになりました。

コーチング、というのは、実はコーチではなく自分との対話であると、私は思っています。
自分と向き合う旅のプロセスは、勇気がいったり、迷ったりするから、その横で一緒に歩いてくれる、自分以上に自分の可能性を信じてくれるのがコーチ、というのが私のイメージ。

そしてコーチングは目の前の課題解決のためではなく、自分で選択する力、選択肢を生み出す発想力や創造力を育むためのもの。
自分の心の声と対話して自分をよく知ることで、世界がよく見えるようになるから。

コーチングに限らず、他者の存在は、あなたがあなたを大事にするプロセスを助けます。
あなたの道に「こうするべきだ」とアドバイスするのではなく、応援してくれる人は誰でしょうか。

とはいえ、その人だって、その人自身を大事にするのに忙しいかもしれない。
そんなときはコーチを上手く使うといいと思います。
私に限らず、コーチ、という職に就いている人は、クライアントの成長の旅を応援するためにそこにいます。

世界で一番大切な自分を、今日からもっと大事にしよう。
あなたの心の声に、耳を傾けよう。
あなた以上に、あなたを大事にできる人はいないのだから。

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