この記事ではストレングスファインダーの34資質のひとつ、「自己確信(Self-Assurance)」の持つ世界観やその活かし方について書いています。
自己確信はコンパスを持つ
It’s your road, and yours alone, others may walk it with you, but no one can walk it for you.
この道はあなたの道、あなただけの道。誰かがあなたと一緒に歩くことがあっても、誰もあなたの代わりにこの道を歩くことは出来ない。(ーRumiー)
自己確信は、内なるコンパスを備えています。ひどい嵐の中でも、深い森の中でも、自分の進むべき方向が分かります。周りの環境によって、その針が狂わされることが無いのです。
人生は選択の連続です。日々の生活で現れる小さな分かれ道、時折やってくる大きなターニングポイント。自己確信の内側にあるコンパスは、自分がどちらへ行けばいいのかを教えてくれます。周りからのアドバイスをあまり必要とせず、自分の直観に従って決断し行動するのです。
自己確信の中には強い思いがあります。
この人生は自分自身のものであり、他の誰もこの人生を生きられない。「わたしがやらなければ誰がやるのか」と。
自分の選択に確実さをもたらす、内的コンパスの声を聴き道を切り開いていく、とてもユニークな才能です。
自己確信は信じる
Indecision is the enemy of progress. Not saying yes to one possibility is saying no to them all.
優柔不断は進歩の敵である。ひとつの可能性にイエスと言わないことは、すべての可能性にノーと言うことなのだから。(ーmichael haggstrom)
自己確信は信じています「きっと上手くいく」と。それは信じている、というよりもむしろ、上手くいくと「知っている」という感覚が近いのですが、その自信は一体どこからやってくるのでしょうか。
この資質の英語訳は「Self-Assurance」。Assuranceの意味を紐解くと「自分自身の能力への自信または確信(confidence or certainty in one’s own abilities or character.)」とあります。
自己確信は、自分には決断する能力があるということ、また選んだ道をやってのける能力があるということを、心の底から信じています。自分に対して、疑いを抱かないのです。
Assuranceの語源であるラテン語のCurareには「世話をする、気を付ける」という意味があるのですが、その言葉通り、この才能は自分との関係性がとてもうまくいっているように感じます。
何でも出来る、と思っているわけではないのですが、自分が何者で、何が得意で、その能力をどんな風に使えるかをよく知っているのです。
自己確信にとって最悪の決断とは、決断しないことです。そのため自分が選んだ道であれば、どのような結果になろうとも、後悔することがありません。
自己確信はしばしば、他の人が尻込みしてしまうような未知の領域へと踏み込んでいくことがあります。大きなリスクを取ることを恐れないのです。どちらかというと、周りの人にはリスクに映ることが、自己確信にとってはチャレンジであり冒険であることが多いようです。
自分自身への大きな信頼、自分の心の声を聴く力。それらが、慣れ親しんだ世界と新たな世界の間にある、境界線を超えていくエネルギーになるのだろうと思います。
自己確信は揺らがない
自分自身への強い信頼を持っている自己確信は、嵐の中でも毅然としています。仮に今答えを持っていなくても、自分には答えを見つける力があると知っているからです。
そんな自信に溢れた彼らのあり方は、周りの人々を惹きつけます。本人は意識していなくても、気づいたら後ろにたくさんの人がついてきている、そんなイメージです。いつも冷静で落ち着いているので、それが周りにも安心感をもたらすのです。
他の人がどう思っているかが気にならないので、批判やフィードバックに対してとてもオープンな一面があります。他者の意見によってひどく落ち込んだり、行動を躊躇することがありません。手に入れたものをどう使うかは自分が決める、という感覚なのかもしれません。
影響力資質のグループに属している資質は、他者に影響を与えることに価値をおいているものが多いのですが、自己確信にはそういった意図はないように見えます。にもかかわらず、その存在そのものが周りに影響を与え、相手の自信を強めてしまう、不思議な魅力を持ち合わせているのです。
自己確信を繋げる
自分で自分の道を決めていく力があるゆえに、自己確信は一匹狼になりやすい傾向があるかもしれません。周りの人がついてきているかどうかに関係なく自分の道を選んでいくため、気づいたら一人で走っていたということが起こり得るのです。
確かに自分の人生を生きられるのは自分一人だけですが、たった一人で生きている人はこの世界にはいません。「早くいくなら一人で。遠くまで行くなら皆で」という諺があります。他者の持っている視点は、自分の選択やこれからやろうとしていることに、より豊かさや広がりをもたらすことになるはずです。
自信に満ち溢れて見える自己確信に対して、周りの人は質問したり意見したりするのを躊躇うことが多いかもしれません。相手にこちらから意見を求める機会を持つようにすると同時に、周りの人達が自分の人生にもたらしてくれているものについて、考える時間を持ちましょう。
自己確信で勇気をもたらす
自分に自信を持つ、ということは決して簡単なことではありません。失敗をする度、チャレンジを前にして怖気づくとき、人は自分の能力を疑い、立ち止まってしまうものです。自分への信頼の無さはやがて、鏡である他者との人間関係にも影響していきます。
人は自分を心から信じられるようになったとき、他者や世界を信じることが出来るようになるのです。自己確信のもつユニークな才能が世界にもたらされるとき、それはどれほどの価値を生み出すでしょうか。
「きっと上手くいくよ!」という自己確信の言葉には、他にはない特別な力があります。どうか周りの人のチャレンジに、自己確信のパワフルな力を貸してあげてください。わたしがそう思うのだからきっとそうなる、という内なる自信が、相手の心にも強い自己信頼をもたらしてくれるはずです。
わたしはわたしの能力を、わたしの選択を、わたしの道を信じている。
そんなふうに思える時、相手は未知の世界へと踏み出す勇気を、手に入れることになるのだろうと思います。もしかするとそれは、相手が本当の意味で「自分の人生を生きる」ための、最初の一歩になるのかもしれません。
内なるコンパスに従い、人生を切り開いていく自己確信。
私が愛してやまない世界のひとつです。