この記事ではストレングスファインダーの34資質のひとつ、「成長促進(Developer)」の持つ世界観やその活かし方について書いています。
成長促進は見る
ストレングスファインダー®の34資質はそれぞれに、見ている世界というものがあります。それしか見えないという訳ではないのですが、なぜか他の人よりよく見える世界とでも言ったらいいでしょうか。
成長促進が見ているのは、相手の「ポテンシャル=可能性」です。彼らにとってすべての人が、可能性の塊なのです。育ち盛りの子供や、新卒社員だけでなく、勤続30年のパートさんにも、90歳のおじいちゃんの中にも、成長促進は可能性を見ています。
何かを始めるのに遅すぎるなんてことはないし、諦める必要もない。「人はいつだって成長できる」成長促進はそんな風に考えています。
成長促進がよく見えるものはもう一つあって、それは「相手の成長」です。
春の初め、枝ばかりの木々に小さな小さな新芽が顔を出しているのに、気づかない人も多いことでしょう。成長促進は、そんな誰もが通り過ぎてしまうような、 些細な相手の成長に気づくことが出来る、とてもユニークな観察眼を持っています。
人は誰でも赤ちゃんの頃は、本当に小さなことが出来るようになるだけで、「すごい!出来るようになったね!」と認めてもらっていました。
ところが成長するにつれ、そのハードルはどんどん高くなってしまいます。
「そんなの早くなったとは言えない」
「そんなの出来てるとは言えない」
常に高い理想を求められ、やる気を失ってしまう人のなんと多いことでしょう。
「認める」は「見て+留める」という解釈もあるといいますが、成長促進は些細な差をよく見ています。
「5分も早くなったね!」
「前より、ここが綺麗になったね!」
と、小さな成長を認め、一緒に喜ぶことが出来るのです。
同時に、相手の成長を見ることで満たされ、そこから更なるエネルギーを得ることが出来る、とてもユニークな才能です。
成長促進は投資する
やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
ー山本五十六
人材育成でよく使われる、山本五十六のこの言葉。人を育てるのには、なんとも忍耐力が必要なのだなと、気が滅入る人も多いのではないでしょうか。
成長促進は、人が何かを習得するには時間がかかることを知っています。ほんの一度や二度失敗したからといって、その人に能力が無いだなんて、判断できないはずなのです。
誰かを育てることに自分の時間を投資することを惜しみませんし、 非常に根気強く相手と向き合う力を持っています 。
例えまだ芽が見えていないとしても、内側では少しずつ成長している。
それを成長促進は知っているのです。
もしかすると、成長促進がこのような才能を身に着けたのには、自分の人生の中で同じように接してくれた先生や、先輩がいたのかもしれません。人がどういう環境に置かれると、自ら成長しようという意欲が湧くかを、成長促進は身をもって知っているような気がします。
献身的ともいえる労力を注いでくれる、成長促進と相手との間には、しばしば強い信頼関係が生まれます。
「あなたの言葉が、諦めそうになった時に私を頑張らせてくれた」
「あなたがいなかったら、私はきっとここまで来れなかった」
そんな言葉を聞くことも、少なくないのではないかと思います。
成長促進は引き出す
The only man who never makes mistakes is the man who never does anything.
失敗をしない人間は、何もしない人間だけだ。
ーセオドア・ルーズベルト
成長促進にとって失敗は、チャレンジをした証拠であり、成長のプロセスの一環に過ぎません。
例え相手が失敗したとしても
「次はきっと大丈夫!」
「もう一回やってみよう!」
と根気強く応援してくれます。
この仕事は自分には向いてないのではないか、自分には才能がないのではないかと諦めそうになった時、成長促進の存在はどれだけ心強いでしょうか。
人が未知の世界に飛び出し、成長していくうえで、「コンフォートゾーン」と呼ばれる安心できる場所があることは不可欠です。帰れる場所があるからこそ、私たちは思い切ってチャレンジができるのです。
成長促進が相手にもたらす安心感は、本人が気づいている以上の力を持っています。相手の無限の可能性を引き出し、主体的に前へと進む力を発揮させるのです。
成長促進は信じる
It’s being a person of some level by how a person is treated.
人はいかに遇されるかによって、それなりの人物になっていく。
ーゲーテ
アメリカの小学校であるテストを行い、担任の先生に「成績が伸びる生徒のリスト」を伝えたところ、数か月後にその生徒たちの成績が上がりました。実はこの実験のリスト、ランダムに選ばれた生徒たちで、実際の能力とは一切関係がありませんでした。
「ピグマリオン効果」と呼ばれているのですが、可能性を信じてくれる人がいると人は成長することが出来る、という心理学の用語です。反対にゴーレム効果、というのも存在していて、「この人は出来ない」と信じている人が近くにいれば、やはり悪い結果へと向かってしまいます。
どんな最新の学習教材も、超一流の先生も、相手が「自分には出来ない」と信じていたら、何の役にも立たないと思います。 成長促進がやっていることは、相手に「自分は成長できるのだ」という自信を持たせることなのかもしれません。
成長促進の的を絞る
「相手の可能性」を誰よりも信じる成長促進。
そのユニークな才能ゆえに、相手が才能を発揮できない、芽が出にくいフィールドにいるときも、多くの時間を投資し続けてしまうことがあるかもしれません。
この道を諦めるからといって、その人そのものを諦めるわけではありません。
他の道に進めば、そこにもやはり可能性は溢れているのです。 その人がより輝ける場所で成長し続けられるように、どんなサポートが出来るか考えてみましょう。
羊に育てられたライオンは、その恩に報いるため羊であろうとします。信頼関係が出来ていればいるほど、羊の期待に応えようと努力します。
ですが、ライオンにはもっと、ライオンらしさを発揮できる場所があるのです。
相手の可能性がより発揮される場所はどこでしょうか。
どんな環境が相手の成長に必要でしょうか。
新しい道は相手の人生にとって、どんな意味があるでしょうか。
時々、少し広い視野と時間の流れで、相手の可能性を見つめてみるといいかもしれません。
成長促進で火をつける
The mediocre teacher tells.The good teacher explains.
The superior teacher demonstrates.The great teacher inspires.
平凡な教師は言って聞かせる。 よい教師は説明する。
優秀な教師はやってみせる。 しかし最高の教師は子どもの心に火をつける。
ーウィリアム・ウォード
植物の根は水をやりすぎると、その強さを失ってしまいます。自ずから頑張らなくとも、生きていけるからです。
水をほんの少し足りないぐらいの量でやると、植物は根を伸ばし、水を探しに行きます。やがて、大きく成長した枝や葉を支えられるような、強い根が大地に張り巡らされるのです。
人の持つ可能性とは、火種のようなものです。
成熟した成長促進は、言って聞かせ、やり方を説明し、やってみせるだけではなく、相手の心にある火種を燃え上がらせます。
一方的に教えるのではなくて、主体的に「成長したい」という気持ちが湧くよう、サポートすることが出来るのです。
程よい水の量を知ることで、地上から見える部分だけでなく、地中の根っこの部分、自己基盤を強くするようなアプローチに変わります。
それは時に、手を出さずにそっと見守ることかもしれません。
少し刺激を与えて、耐性を持たせることかもしれません。
成長促進の最大の強みは、「可能性を信じている」というあり方そのものです。
自分を絶対に諦めないでいてくれる人がいること。
どこまでも成長を応援してくれる人がいること。
それは多くの人にとって、かけがえのない価値だろうと思います。
世界中の可能性の種に水をやり、そっと成長を見守る成長促進。
わたしが愛してやまない世界の一つです。