「幸せの4つの因子」とは?
「幸せの4つの因子」とは、慶応義塾大学で幸福学の研究をされている前野隆司教授が提唱されている、ウェルビーイングを上げる上で重要な4つの要素です。
4つの因子とは:
- やってみよう因子
- ありがとう因子
- なんとかなる因子
- ありのままに因子
であり、これらの要素がどれだけ高いかが、その人が「幸せだ」と感じられるかどうかに大きく関わってくることが研究で分かっているそう。
日本人が不安になりやすい遺伝子を持っていることは広く知られていますが、だからこそ健康に気を配るように、自分の幸せにも気を配る必要があるようです。幸せは待っていたら向こうからやってくるものではなく、自分から掴みに行く感覚が大事なのですね。
詳しく一つ一つ見ていきましょう。
やってみよう因子~自己実現と成長~
一つ目は「やってみよう因子」。仕事であれプライベートであれ何でも、やらされ感がなく「自ら選んでやっている」という感覚を持っていることです。この感覚が強いとやりがいを感じやすかったり、生きがいとも呼べるような仕事や活動に出会っている人も多くいます。
またそういった活動に出会うために、小さくても新しいことをやってみると、失敗したり成功したりするプロセスの中で「成長」を感じられます。前野教授によれば、この「成長を実感できるかどうか」も重要なポイントだそうで、面倒だなと感じて楽な方に流れるのか、「やってみよう!」と行動に起こすかで、大きな差が生まれてきます。
他者のチャレンジをサポートするコーチとしても、この「やってみよう因子」は普段から私自身が心がけていることの一つです。やってみると、チャレンジした自分を誇りに思えますし、挑戦し続けると自分のコンフォートゾーンも広がっていきます。そうするとさらに挑戦しやすくなるという、ポジティブなサイクルが生まれるんですよね。
ありがとう因子~つながりと感謝~
二つ目は「ありがとう因子」です。名前のとおり、「自分がやったのだ」と驕るのではなく、他者への感謝を出来ることです。研究では友人の数の多さが幸せに繋がるという結果も出たそうですが、それ以上に「つながりの多様さ」が大切であるという点が興味深いですね。
職場と家の往復で限られた世界の中で生きるのではなく、趣味や学びなど複数のコミュニティに所属して、異なる背景や考えを持つ人と日々接する機会があること。多様な視点に触れれば、柔軟性や受容性も高まりますし、また物事を俯瞰的に見る力も養われます。それは時に、「自分が既に持っているもの」に気づかせてくれ、感謝にも繋がっていきます。
私も以前会社と家の往復だけだった時代は、視野がすごく狭まっていました。現在はコーチングだけでも国内外で6つのコミュニティにいて、趣味のテニスやゲームのコミュニティもありますし、色んな考え方の人と接することで特定の視点に捉われずにバランス感のある状態を保てる気がします。
なんとかなる因子~前向きさと楽観~
3つ目は「何とかなる因子」。物事を前向きにとらえ、「まあ、何とかなるだろう」と楽観的に捉えられることです。この因子は一つ目の「やってみよう因子」とも連動していて、積極的にチャレンジすることにも繋がりますし、上手くいかなかった時に切り替えが早いという側面もあります。
反対に、いつも石橋を叩いて「〇〇になってしまうかも」と不安を抱き行動を起こさないタイプは、幸福度が下がる傾向があるそう。未来(結果)が不安で動かない→成長出来ない→もっと不安になる、という負のサイクルにハマってしまうとちょっと残念ですよね。
私の場合、「まあ、何とかなる」と捉える傾向は子供の頃からあったのですが、起業してからはより強くなったように感じます。というのも「何とかなってきたから、自分が今ここにいる」という感覚が体験として強くあるから。チャレンジに失敗やトラブルはつきものですし、不安を抱えて走るよりも、前向きに走った方がパフォーマンスが出やすいかなと思っています。
ありのままに因子~独立とマイペース~
四つ目は「ありのままに因子」です。自分と他者を比較することなく、自然体の自分を認めそのように生きること。お金や地位、名声など他者との比較によってもたらされる幸福感は一時的なものであり、長続きしません。他者の評価を気にしたり、「勝ち負けの世界」にいる限り、真の幸せは訪れないのですね。
他者に合わせて自分を抑えたり、反対に他者よりも優れた存在でいようとするのではなく、「人は人、自分は自分」と明確な境界線を引くこと。そうすると無理なく楽に過ごせますし、周りも自然体でいやすくなったりと、ポジティブな影響が生まれていきます。
以前の私は「良い人でいたい」という思いが強く、本当はNoと言いたくても言えないことがありました。でもある時ふと、「良い人を演じると、ずっと演じ続けなければならない」のだと気づいてしまって。嫌われにくいけれど惹かれにくい「良い人」よりも、個性を尖らせるほうが性に合っていると感じ、それが今のストレングスコーチの仕事にもつながっています。
最後に
幸せの四つの因子、どの因子が高かったでしょうか?反対に少し低いと感じた因子はありましたか?
物質的な豊かさと実際に「幸せ」と感じられるかどうかが必ずしも比例しないように、幸せはなるものというより「感じる」ものであり、内側から湧き出るものなのかもしれません。体調管理と同じく、日々自分の状態を気にかけ、メンテナンスしてあげたいですね。