【8/24(日)】Re:Book~ひとつの物語から始まるチームの対話空間~「比較(Comparison)」

自分を大事にするということ

「自分を大事にするにはどうしたらいいのか、分からないんですよね。」
という質問をクライアントから受けました。ああ、数年前私も同じことを考えていたなあ…。

私もまだまだ、だけれど、「自分を大事にする」うえで今大切にしていることを、言葉にしてみます。

自分を満たさずに、他者を満たすことなどできない

そもそもなぜ「自分を大事にする」ことが、大切なのでしょうか?
サービス業の世界で長年働き、「誰かのために」働くことが当たり前だった私。自分を大事にすることは、「わがまま」で「自分勝手」であるとさえ、信じていた時代がありました。

でもある時ふと、気づいたのです。自分の喉がカラカラで仕方がないのに、誰かに水を与え続けることには無理があるなあと。他者への貢献を大事にする人こそ、まず自分を大事にする必要があるのではないかと。

「他人を思いやること」は、子供の頃から繰り返し教えられてきました。けれども「自分自身を大事にすること」は、ほとんど誰も教えてくれなかったかもしれません。

ここからは自分を大事にするために、私が意識している視点を5つご紹介します。

自分を大事にする①心の声=「願い」を聴き、従う

「旅行に行きたい」とふと思った時、「でもお金が…」「時間が…」と理由を並べて、結局やめてしまうことありませんか?これって実は、「自分にはお金や時間をかける価値がない」というセルフイメージを作ってしまってるんですよね。

頭の中のおしゃべりは「インナーボイス」と呼ばれます。自分の考えを否定する言葉たちではなく、そのさらに奥にある「本当の願い」を聴くこと。例えば「涼しい高原で風に吹かれたい」「誰にも会わず、ただコーヒーと本と一日を過ごしたい」など、自分のささやかな願いを叶えてあげることから、自分を大事にする一歩が始まる気がします。

とはいえ、普段から意識していないと、自分の願いを聴くのは中々難しいかもしれません。そんな時は、見ているとモヤっとする人に目を向けてみましょう。

世界は私たちの心の鏡。もしすごく自由に生きている人が気になるなら、自分に「自由であること」を禁止しているサインです。そんな時は、無意識のうちに「~してはいけない」と信じていたことを、少しだけやってみてもいいかもしれないですね。

自分を大事にする②境界線を守る

自分の願いを貫くことを意識していたとしても、それが簡単に揺らいでしまうのは「他者が関わる」時でしょう。特に普段から、人との関係や調和を大切にしている人ほど、この傾向は強いかもしれません

  • 本当は断りたいけど断れない
  • 「こうしてほしい」とリクエストできない
  • 誰かの愚痴を、聞き続けてしまう

コーチングの文脈ではよく、「境界線を引く」という言葉が使われます。境界線とは、「これ以上入ってこられると、自分のエネルギーが削がれるライン」のことです。この境界線を守るためには、自分にも相手に対しても、ある種の「厳しさ」が必要になります。

時にはきっぱり断ったり、相手に「ラインを踏み越えてますよ」ということをお伝えしたり。しっかりとした境界線を持っている人に対しては、周りも安易に踏み越えることをしないものです。相手がズカズカ入ってくるように見えたとしたら、「それを許しているのは、自分ではないか?」と問いかけてみるのもいいでしょう。

自分を大事にする③体をメンテナンスする

自分をちょっと粗末に扱っているな
そう感じるのは、どんな時でしょうか?

私の場合それは、何が気がかりなことがあって睡眠時間が少なくなったり、日々の食事がおろそかになっていたりする時です。頭では良くないと分かっているものの、「心の余裕がないこと」を言い訳に、つい放置してしまうことがあるんですよね。

心は体と繋がっています。いつになるか分からない「心の余裕の到来」を待つよりも、「体を整えることで、心を整える」という逆の視点も大切だと思うのです。
以下は直近の数年間で、私が意識している日々の習慣です。

  • ミネラルウォ―タ―を飲む
  • バランスの良い食事をとる
  • 8時間以上睡眠をとる
  • 早朝に30分ウォ―キングをする
  • 毎週テニスをする

時々続けられなくなる時もありますが、自分に少し負荷をかけてでも、ここに戻るようにしています。体のメンテナンスは、続けていると「思考がクリアになる」「疲れにくくなる」など変化を感じやすいので、まずは自分に合った習慣をひとつ、意識できるといいですね。

自分を大事にする④使う言葉を意識する

体を整えるのと同じぐらい、意識したいのが「言葉を整える」こと。
頭の中のおしゃべり「インナーボイス」には、色んな人格があって、特に自分にダメ出しをする声はとてもボリュームが大きいもの。そうすると、普段の会話の中でも、否定的な表現を使いがちになってしまいます。

「思考が変わることで、言葉が変わる」という考え方もありますが、逆も然り。「言葉を意識することで、思考が変わっていく」こともあります。

特に

  • ありがとう
  • なんとかなる
  • まあ、やってみるか

などの言葉は、日々の生活に感謝と前向きさをもたらし、自分のエネルギーを挙げる力があると感じています。これらの言葉はウェルビーイングにも繋がっているので、興味のある方は以下の記事も読んでみてくださいね。

「幸せの四つの因子」ウェルビーイングを上げる大切な要素 Vol.1

自分を大事にする⑤大切な人のように、自分を扱う

もしあなたの大切な友人が、今のあなたと同じ状況にいて相談をされたら、どんな言葉をかけますか?

「すごいじゃん!めっちゃ頑張ってるね」
「自分の人生を最優先にしてもいいんじゃないの?」
「それは大変だったね。よし、気晴らしに呑みに行こう!」
こんな言葉が出てくるかもしれません。

私たちは、大切な人が困っていたり傷ついていたら、「どんな言葉をかければいいか」「何をしてあげたいか」、大抵すぐに分かります。にも関わらず、自分のこととなるとなぜか、とても厳しい目で見たりしてしまうんですよね。

もし自分の大切な人が同じ状況だったら、どうするか
という視点を常に持っておくこと。人生で一番長く付き合うのは自分自身です。その自分を大切な存在として扱い、思いやりを持って接することが出来れば、世界にももっと優しくなれる気がします。

終わりに:一人ではなく、誰かと

自分を大事にすることは、一人で完結できるもののようでいて、実はそうではありません。というのも、「自分の状態を正確に把握する」のは、自分一人ではとても難しいことだから。

私自身、コーチングを通して「自分に厳しすぎる自分」や「断れない自分」に気づき、そのパターンを少しずつ変えてきました。その経験から、声を大にして言いたいのは——「他者の視点」は、自分を大事にするプロセスにおいて欠かせないということです。

遠慮なく率直に伝えてくれて、あなたのことを本気で応援してくれる存在。そんな人がそばにいるだけで、自分を大事にするということを、少しずつ実践していける気がします。

この記事を書いた人

大原亜希

ICF認定PCCコーチ

強みや価値観をヒントに、ビジネスパーソンやクリエイターの「自分らしく働く&生きる」をサポート。大人の自由研究のように、正解のない問いを一緒に探求する対話をしています。

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