「自信」は、様々なチャレンジを扱うコーチングにおいて、外せないテーマの一つです。「自信に溢れている」「自信を失う」「自信を取り戻す」などなど様々な表現がありますが、そもそも「自信」って何でしょうか?
その定義や解釈は人それぞれということを理解しつつ、この記事では「自信」についての私なりの視点を、様々な角度から探求してみたいと思います。
「自信」を気にする人は誰?
「自信が無いのでチャレンジできない」という話は、セッションに限らずまあまあ色んな場所で聞くのですが、コーチングや企業研修などで様々な人とお会いする中で、「自信」について一つ確信していることがあります。
それは自信がある人、もとい、自信があるように周りから見える人は、「そもそも自信に焦点を当てていない」ということです。
少し表現を変えると、何かにチャレンジするとき「自分に出来るかどうか」で悩むよりも、「自分はこれをやるのかどうか」をまず決めることを大事にしているように見えるんですね。で、「やる」と決めたら、そこに全力でコミットして、どうしたら実現できるかにエネルギーを注いでいく。
本当に顕著で面白いなあと思うのですが、そもそも話していて「自信が無い」とも「自信がある」とも、「自信」というワード自体が出てこないのです。で、「やってみたら、どんな結果になると思いますか?」と聞いてみると、「それはやってみないと分からないですね」と返ってくることもとても多い。
つまり、どうも「上手くいくと信じている」とか「自分に自信がある」から、チャレンジできるという訳ではなさそうなんです。
「自信」をどう定義するのか
「自信」は英語では「confidence」と訳されることが多いのですが、「自分自身に対する自信」という枠に限定して単語を探すと、「self-confidence(自己信頼)」と「self-assurance(自己確信)」という言葉に辿りつきます。
- self-confidence(自己信頼)
自分の能力や適性に対して肯定的な評価を持ち、困難や挑戦に立ち向かう勇気を持つことができるようになること - self-assurance(自己確信)
自分の考えや価値観に自信を持ち、他人の意見や評価に惑わされずに自分の道を進むこと
「self-confidence(自己信頼)」はいわゆる、「自分には出来る」「自分は上手くやれる」と信じている状態です。「能力や適性に対する肯定的な評価」とありますから、自分の経験やスキル、知識、資格などに基づいた自信とも言えるかもしれません。
対して「self-assurance(自己確信)」は、「私はこれを大切にする」「私はこの道を選ぶ」という自分の決断を信じている状態です。例え上手くいかなくても、自分が選んだ道の結果を受け入れるある種の「潔さ」や「覚悟」を持ち合わせている気がします。
「self-confidence(自己信頼)」が、自分の「持っているもの(Having)」を信じているのに対し、「self-assurance(自己確信)」はどちらかというと、自分という「存在そのもの(Being)」を信じているのかもしれません。
周りから見ていて自信があるように見える人は、この両方を持ち合わせているように感じるのですが、順番としてまず「self-assurance(自己確信)」があることで様々な挑戦が出来るので、結果的に「self-confidence(自己信頼)」へと繋がっていくのかなと。
もちろん経験やスキルを積み重ねることで「より自分の価値感や決断に自信を持てる」、という反対のサイクルもあると思います。ただ物事には何でも「初めての瞬間」がありますから、「self-confidence(自己信頼)」だけを頼りにしていると、新しいことに出会う度にブレーキがかかっちゃうように思うんです。
「self-assurance(自己確信)」の最大の強みは、場所が変わっても、対峙するものが変わっても、自分の決断を信じる心に揺らぎがないことです。人生の中で、すごく汎用性があるものだよなあとつくづく感じてしまいます。
このウェブサイトでも紹介している「ストレングスファインダー」には、まさに「自己確信(Self-assurance)」という名の資質があります。「自信」を異なる角度から探求する視点としては面白いので、興味のある方は覗いてみてください。
「自信」は行動の中から生まれ、形作られる
例えばWBCをテレビで見て野球選手に憧れた少年が、野球をやってみたいと思ったとします。もしその子が「上手く出来るか自信が無い」と言ったら、「そうだよね、誰でも初めてのことには不安になるもの」と多くの人が思うことでしょう。
ではもしその子が、「自信が無いから、練習を始められない」と言ったら、あなたはどう思いますか?
私だったら「ナゼにやる前から自信を持てると思ったんだ?」と心の中で突っ込んでしまいそうですが、実際のところ恐いもの知らずの子供に比べて、むしろ大人の方がチャレンジする前から自信が無いことを理由に諦めたり、足踏みしてているなあと思うのです。
野球の場合、おそらく自信というものは練習や試合の積み重ねの中から生まれていくでしょう。そして「幾重にも積み上げられた自信」でさえも、高校野球からプロ野球、そしてメジャーリーグと舞台が変わる時には、確固たるものに思えたそれが「揺らぐ瞬間」があるだろうと思います。
それでも挑戦し続けることで、行動を起こし続けることで、そこからまた新たな自信が生まれより強固なものになっていく。思うに「これまでの自分では通用しないかもしれない」、そう感じた時に勇気を奮い立たせてくれるのは、自分という存在を信じる「self-assurance(自己確信)」なのではないでしょうか。
自分の考えや価値観を信じるには、そもそも「自分が何者であるのか」への深い理解があることが重要です。
あなたは自分が大切にしていること、信じていることを、どれぐらい知っていますか??