リスは食べ物が少ない冬に備えて、森の色んな所に木の実を隠す。自分なりの目印を付けたりもするけれど、どこに埋めたかを時に忘れてしまう。
リスに忘れられた木の実はいつしか芽吹き、そして豊かな森の一部となる。
「言葉」って不思議。
誰かの発したささいな一言が、私の心に根付いて大きな木に育つことがあって。遠い昔に誰かが遺した言葉が、私の心を奮い立たせることがある。
そして反対に。
自分の感じたことや気付いたことを記すための、備忘録として始めたこのブログ。「お気に入りの記事があって何度も読んでいます」とか、「読み終わった時包みこまれる感じがしました」とか、言ってくださる方がいる。
「言葉」はまるで、リスが忘れてしまった木の実のよう。相手を動かそうとか、そんな意図をまるで含まない、自分自身のための独り言のような言葉ほど、人の心に根付く気がする。本人はそんなの覚えちゃいないのだけど、知らない場所で少しずつ、芽を出していたりする。
Points of You®では、自分自身の経験や思いを語ることを「Story(ストーリー)を語る」と言ったりします。
自分自身のために心を開き、自分の深いところにある思いを言葉にするとき、それはとてもパワフルで、聞いている人をインスパイアする力がある。ストーリーは話している本人や聴き手を、勇気づけたり、癒やしたり、閃きを与えたり、包容することができる。
「言葉」の木の実は、誰かの心で芽吹く。
私が埋める木の実もまた、誰か別の人によってもたらされた木の実で。その人の生きてきた道を結晶にしたような、その木の実はわたしの心の中に、豊かな木を育くむ。
相手はきっと、その木の実を埋めたことを忘れているのだけれど。