この記事ではストレングスファインダーの34資質のひとつ、「回復志向(Restorative)」の持つ世界観やその活かし方について書いています。
回復志向は蘇らせる才能
この資質を説明するのによく「問題解決が好き」というような表現がありますが、私はあまりしっくりこないのです。
私の知っている回復志向をトップに持つ人々をみていて思うのは、回復志向の才能はどちらかというと、人や物事が、本来の輝きを取り戻せるようにサポートするものだということ。
ですから相手が言葉にしていなくてもSOSが聞こえますし、なんなら「助けて!」と言う前に、そこにいてくれる、そんなイメージさえあります。
組織内の人間関係の問題。PCのソフトのシステムの問題。どんな問題を解決することに惹かれるかは、人によって変わってくるのですが、どちらにせよ回復志向にとって、誰かを助けることや物事をあるべき状態に戻すことは、彼ららしさの一部なのだと思います。
私の知り合いで、言葉どおり瀕死状態にあった部下に彼女が関わった結果、その部下がイキイキと仕事をするようになったという話があります。
「何かを生き返らせること」はこの資質の大きなテーマの一つ。
回復志向は「治せる」ということを本能的に知っています。周りの人が見えていない本来の輝きを、見ることができる人々なのだと思います。
よく比較対象として最上志向が挙げられますが、最上志向はすでに機能していることに磨きをかけ、回復志向は本来の輝きを失っているものに命を吹き込みます。
理論的には一緒に現れることが少ないこの二つですが、お互いに補い合うことができると、理想的なパートナーになります。
回復志向は問題を解決へと導く
何か問題が起こったとき、人は問題そのものに焦点を当てがちです。
「なぜその問題が起こったのか?」
「なぜこのやり方でやったのか?」
問題が起こった原因を知ろうとするのですが、気づくと問題の渦にとらわれて、そもそもなぜこの話を始めたのかすら忘れてしまうことも。(日本のニュースに多く見られる傾向ですね。)
成熟している回復志向は、問題ではなく「解決策」に焦点を当てます。
「では、どうしたら解決できるのか?」
「そのために自分はどんなサポートを提供できるのか?」
周りの人が問題の渦中で身動きがとれないときに、ワンステージ高いところから問題を冷静に眺め、どこがボトルネックになっているかを観察する。
問題を客観的に眺める視点と、その解決策を人々にもたらす。これは回復志向の天性の才能です。
組織の改善策ミーティングでよく、ただただ問題を話して終わってしまうことがありますが(多くの場合誰に原因があるかというような話)、回復志向はそこに
「うん、原因はわかった。ではどうしたらあるべき状態に戻せるのか話し合おう」
と、相手のベクトルを問題から解決策へと導くことができます。
回復志向は問題に向き合うことを恐れない
ほとんどの人は、問題に直面すると、見ないふりをしたり回避しようとしたりします。問題が大きければ大きいほど、人はそこに「恐れ」や「不安」、「面倒くささ」を感じたりします。
ですが個人的なことであれ、組織に関することであれ、見過ごさずに向き合うことが大きな価値を生み出す問題というのは、確かに存在しています。
回復志向はそういった問題を直感的に知っていますし、「この問題は解決するべきだ」と伝え、自ら行動を起こすことができます。
また回復志向はすべての問題は解決できるということを信じているため、一般的に問題を途中で放り出すということがあまりありません。そんな彼らの姿勢は「大丈夫。絶対に解決できる」という安心感を相手にもたらすことができます。
回復志向を回復させる
問題を解決することが得意とはいえ、それはエネルギーを消耗しないということではありません。
回復志向はしばしば、自分自身を回復させることを忘れてしまう時があります。物事があるべき状態に戻ったときや、周りの人が本来の輝きを取り戻したとき、それは回復志向にとってとても嬉しいことなのですが、問題が大きければ大きいほど、必要なエネルギーも大きくなります。
回復志向のユニークな才能を常に強みとして活かすためにも、「何をすれば自分を回復させることができるか」知っておく必要があります。
飼い犬と散歩にいくことかもしれせんし、スポーツをすることかもしれません。少し遠くまで旅行に行って、美味しいお酒を飲むことかもしれませし、静かな場所で一人になることで回復できる人もいるでしょう。
回復志向のアクセルを必要に応じて緩めることができるようになると、自分を常に良い状態に保つことができます。
回復志向を磨きあげる
問題の無い場所は存在しないことから「一生仕事に困ることがない」と言われる回復志向。
一方ですべての問題を解決するには、ちょっと時間が足りません。例えば絶滅の危機にあるベンガルトラを救えないことに気をもむよりも、身近にいる家族や友人のほうがより、回復志向のサポートを必要としているかもしれません。
「今、どの問題にフォーカスするのか」
これは回復志向本来の強みである「解決に導く」という価値を最大に活かすためにも、とても大切な視点です。
また多くの人にとって問題を解決するということは、回復志向をトップに持つ人ほど受け入れやすいものではないということも、知っておく必要があります。誰かの愚痴を言う人が、必ずしもその関係性を改善したいと思っていない可能性があるからです。
「こうやって解決できるよ」
というアドバイスではなく、
「私の助けが必要かな?」
と、ワンクッションおくことで、限られた貴重な時間を、本当に必要としている人に届けることができます。
多くの人が放り投げてしまうような問題に向き合い、本人も気づかないぐらいたくさんの人や物を蘇らせている回復志向。
わたしが愛してやまない世界の一つです。