【11/16(土)】Re:Book~ひとつの物語から始まる対話の空間~「独創性(Out of the box)」

ストレングスファインダーの「最上志向」を飼いならす

ストレングスファインダーの34資質の一つである「最上志向」。影響力資質に属するこの資質、中々エネルギーの強い資質で、上手く扱うのに手を焼いてる人も多いかもしれません。

わたし自身、初めて診断を受けた時は16位ぐらいだったのですが、ストレングスコーチになり「強み開発」にフォーカスするようになった現在はなんと2位! 素晴らしいところも悩ませられるところも、両方ひっくるめて親しみを込めて「最上先輩」と呼ぶほどに身近な資質です。

この記事では、最上志向をうまく活用していく上で抑えておきたいポイントについて、私自身の経験を元にまとめています。ご自身の最上志向をさらに伸ばしていきたい、うまくコントロールするヒントが欲しい、という方は是非読んでみてくださいね。

最上志向の傾向性①:口グセは「もっと!もっと!」

最上志向の特徴と言えば、もう本当にこの一言「もっと!」に尽きるかもしれません。

「もっと上手くやりたい!」
「もっと効率よくしたい!」
「もっとイメージに近づけたい!」

何を磨くかは人それぞれ違えど、傾向としてはより美しく&より洗練された「」にフォーカスする場合と、無駄なく&リソースを活かす「効率」にフォーカスすることが多いようです。

両者に共通するのは、英語名にも通ずる「最大化させる(Maximize)」を大事にしている点。上手く使えば、本人も気づかないうちに標準をはるかに超えたレベルになっていることも多いですし、全く無駄のないシンプルさを随所で実現していることもあります。

一方で、コインの裏表のように常に二面性をもつ才能。無意識で使いすぎていると、時間を過度にかけすぎて自己満足の世界に入っていたり、一見無駄に見えるものの中にある大切なものまで削ぎ落してしまうことがあるかもしれません。

全ての34資質について言えることですが、「自分がその才能をどのように使っているか」を意識することは大切なポイントです。

最上志向の傾向性②:天井の無い「理想像」

最上志向について語る時、よく比較対象として回復志向があげられます。今ここと目指す場所の「差分」を見ている点で両者はとてもよく似ているのですが、大きく異なるのは回復志向が「100%の状態」、最上志向は「理想の状態」を見ているところ。

回復志向の傾向性は100%に対して足りないものを埋めていくこと。なので100%に達することが出来れば、興味は他の60%に移ることが多いと思います。一方で最上志向の「理想の状態」は常にアップデートされ続けています。つまり、開始当初に描いていた目的地に着くころには、次の理想が設定されるんですね。どこまでも限界が無いのです。

この天井の無い「理想像」は、最上志向に前に進み続けるエネルギーを与えてくれます。「こうなりたい」というビジョンを明確に描くことで、常に現状に慢心することなく進化し続けることが出来るのです。「プロフェッショナル」という言葉が響くとか、職人気質の方が多いのもこの傾向ゆえかもしれません。

同時に、現状に満足しにくい傾向があるので、使い過ぎには要注意です。英語名「Maximizer」の頭文字はドМのMなんて冗談で言ったりもします。自分も他者も「まだまだ足りない」と、追い込む傾向がありますから、世の中の全ての人が「物事を磨く」ことに興味があるわけではないということを忘れないように。

最上志向の傾向性③:好き嫌いがとっても明確

最上志向は物事であれ人に対してであれ、「好き」「嫌い」を直感的に嗅ぎ分ける能力がとても高いように思います。そこにはどうも、この資質が大事にしている価値感のひとつ「Return on investment(費用対効果)」が、深く関わっているような気がするのです。

自分があまり好きでないことをやるのも、苦手な人と一緒にいるのも、通常よりエネルギーや努力が必要になる。おまけにどれだけ頑張ったところで、大した成果も生まれません。それならば大嫌いな数学を平均点にするよりも、大好きな英語をバイリンガルぐらいに極めたい!!が最上志向の基本性質。

とにかく「無駄を嫌う」がゆえなのですが、自分の好きなものや得意なものにエネルギーを集中しやすいのは、この資質のもつ素晴らしさの一つです。自分の「好き」を追求してとことん磨き続けただけなんだけど、気づいたらプロ級の知識やスキルを手に入れていた、はあるある話です。

この傾向性の裏側は「苦手なことにはとことん興味が持てない」こと。もう悲しいまでにどうでもいいと思ってしまいやすいので、仕事などでそういった役割を求められると、他の人よりも苦痛に感じるかもしれません。そんな場合は、自分なりの取り組み方を見つける工夫が必要でしょう。

ここからは、私が自分の最上志向を飼いならすために意識していることを、4つ紹介します。

最上志向を飼いならす①:最初のハードルをとことん下げる

この資質、例えばランニングにチャレンジするとしたら、最初からフルマラソンを走ろうとする傾向があるんです。なにかにつけて目標が高い(というか高すぎる)。かつ、試しに1km走って疲れてしまった自分に幻滅して、チャレンジ自体をあっさり止めてしまうことも。なぜなら、願わくばそこへ辿り着く時間も最短であってほしいから。

物事を極めてエキスパートになるには、10000時間必要だという説もあります。高い理想を掲げることはとっても素晴らしいことなのですが、ゴールが見えなさ過ぎて早々に諦めてしまうとしたら本末転倒。最終ゴール以外にも、ひとまず3キロ、5キロ、10キロ、などマイルストーン=中間ゴールを設定して、理想に近づいていると感じられる仕組みを作ってみましょう。

もう一つ何かにチャレンジする時に大切なことは、最初の一歩をできるだけ小さく設定することです。目標同様、最初のアクションも高く設定する傾向がある最上志向。ランニングで例えるなら「明日から毎日10㎞走ります!」とか言い出しかねません。

自分ではあり得ないぐらいに、最初の一歩を小さくしてみる。「ひとまずランニングシューズを履く」「5呼吸だけマインドフルネス」15分だけライティング」などなど、簡単すぎてちょっと物足りない、ぐらいから始めてみましょう。始めることへの負荷を出来るだけ下げて、継続可能な仕組みをデザインすること、これがコツです。

最上志向を飼いならす②:第三者の視点を借りる

最上志向に限らず全ての資質に共通して言えることなのですが、才能の傾向性は仕事に限らず人生の様々な場面で無意識に表れています。わたし自身も自分のコーチと話していて本当に笑えてくるのですが、スーパーやネットでの買い物から、一日の過ごし方まで、まあ色んな所で発揮しています。で、あまりにも無意識すぎて、本人は最上志向をフルアクセルで踏んでいることに気づかなかったりするんですよね。

そんな時は「第三者の視点」がとても役に立ちます。コーチとの対話でもいいですし、ワークショップや講座などで他の参加者と話してみるのもいいでしょう。自分に気づいている状態を「セルフアウェアネス(Self-Awareness)」と呼びますが、この感覚を掴むことは才能を育てる上で非常に重要です。

個人セッションのクライアントさんを見ていると、初期の頃はコーチから「今、最上志向出てますねー」というフィードバックをしていたのが、徐々に「私今、最上志向使い過ぎてますよね」とご自身で気づけるようになっていくケースが多いように感じます。

スピードが出すぎていることに気づけば、私たちはアクセルを緩められます。どんな才能も使いすぎると、効果的な使い方にはならないことがほとんどですから、「自分が今どのように資質を使っているのか」観察することを習慣にしていきましょう。

最上志向を飼いならす③:「今」を見る時間を作る

最上志向の特徴の一つは、理想と現実の「差分」を常に見ていること。「まだまだ」「もっともっと」などの口癖にも見えるように、「十分にある」よりは「まだ足りない」を感じやすいところがあるのかもしれません。

「これでもいいが、もっと上を目指したい」と「これではダメなので、もっと上を目指したい」では心の持ちようがまるで変わってきます。

コーチングを軸足にしているストレングスファインダーの哲学の中で、自己基盤を整えることは欠かせない要素の一つです。最上志向の場合は特に、「今既に上手くやれていること」や「これまでより上手くやれるようになったこと」にも目を向けたり、その成長を喜ぶ機会を作ると、さらに高みを目指すエネルギーにも繋がっていくように思います。

最上志向を飼いならす④:質は一定のレベルを超えると「好み」になる

「優秀さ(Excellence)」をとっても大事にしている最上志向ですが、私自身がこの資質を飼いならす上でとても大切にしていることがあります。それは、

物事の質はある一定のレベルを超えると、後は「好み」の話になるということ

職人を長年経験してきたからこそ感じるのですが、ミシュランの三ツ星レストランを並べて、この店はあの店より上だ下だ、という話をするのはとても難しい。ただこの店の方が自分は好き、この店はあまり自分には合わなかった、という「好み」の話はあります。店それぞれに個性があり、その「らしさ」は、とっても洗練されていますから。

だからこそ、自分が磨きたいと思っているものに対して、「他者と比べて優秀かどうか」「過去の自分と比べて優秀かどうか」という問いを立てるよりも、「これは本当に自分らしい表現になっているか」という自分のスタイルを追求する問いを大切にしてきたいなと思うのです。

「自分にとって優秀さとは何か」を再定義することも、同じように価値があるかもしれませんね。

最後に:あなたの最上志向を活かすために

最上志向の傾向性と上手く扱うために意識していることについて書いてきましたが、「才能の傾向性は一人一人ユニークなものである」ということをどうぞ心に留めておいてください。一般的な傾向性として、あなたの最上志向にも響く部分があると思いますが、同時にこの記事に書かれていることには、私の他の上位資質が影響を及ぼしている部分が大いにあります。

「自分の最上志向の場合はどうなのか?」「どんなスタイルでやっていくのが自分に合っているのか?」、そんな質問を常に持ちながら、ご自身の才能を慈しみ、育てていってあげてくださいね。

▼最上志向を磨き続けてきたコーチと、あなたの最上志向を磨く旅へ。

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