英語で学ぶストレングスファインダー「Gallup Theme Thursday シーズン2」/「最上志向」のダイナミクス

毎週ストレングスファインダーの34資質のうち、ひとつをクローズアップする「Gallup Theme Thursday」。ツールの提供元であるGallup公式のYoutube動画で、現在シーズン6まで公開されており、英語に馴染みのある方、または英語を身につけていきたいと思っている方にとっては、ほんっとうに心からお勧めしたいコンテンツです。

この記事では現在6つあるシーズンの中から、シーズン2の内容について詳しく解説しています。事例を上げるために「Maximizer(最上志向)」のエピソードを引用していますので、最上志向についてよりよく理解したい方も是非読んでみてください。

記事中の日本語訳について

本記事の引用部分の日本語訳は、Coaching Labo LIBERTEが独自に翻訳したものであり、Gallup公式の日本語訳ではありません。英文の解釈は、訳し方によってニュアンスが変わってくる部分もありますので、正確な意味を知りたい方は、Gallupの公式サイトから動画をご覧ください。

シーズン2の概要と魅力

シーズン2のテーマは「Pairing and Expanding Your Strengths(あなたの強みを組み合わせ発展させる)」。このシーズンは達成欲(Achiever)からアルファベット順に動画が配信されており、原点思考(Context)までの9つの資質と、それ以降で、若干異なる内容構成になっています。

共通しているのは①資質の概要、②資質のダイナミクスについて。それに加えて前半9つのエピソードは視聴者の中からその資質をTOP5に持つ方が対話に参加して、ホストからの質問に答えていく形式になっています。後半のエピソードについては、この対話の部分が無く、その分より丁寧に資質の概要等について説明されています。

資質の概要については、シーズン1に比べるとかなり時間をかけて説明しており、特に「才能の未熟/成熟な状態(Raw vs Mature)」について、複数の視点から眺めることが出来ます。自分の才能が「今どういう状態なのか」を知るための物差しとして面白いかもしれません。

またダイナミクス=資質の組み合わせは、ストレングスファインダーを扱う上で重要な要素。シーズン2では「Expanding your strengths:Theme Dynamics」というe-Bookのアプリを使って、資質と資質の組み合わせについて詳しく学べるのが大きな特徴のひとつです。

シーズン2の内容①:資質の概要

Pairing and Expanding Your Strengths: Maximizer– Theme Thursday — S2

▲Gallup Theme Thursday シーズン2「Maximizer(最上志向)」

  • この資質の傾向性
  • この資質のPower&Edge
  • この資質の未熟/成熟した状態
  • この資質と補完的な資質
  • この資質と一緒に現れやすい/現れにくい資質
  • この資質を上位に持つ人をコーチングするには
  • この資質と他の資質の組み合わせ(ダイナミクス)

Power&Edge」は日本語に直訳するのがやや難しいのですが、「その資質の素晴らしさ」や「その資質の可能性」について話しているパートになります。例えば最上志向についての説明はこちら:

最上志向は「質」にフォーカスし、他者にもそれをもたらします。最高の人と、最高のもののために働くことを好みます。それぞれが本来得意とすることをやれるようにすることで、グループ内に強みを生み出すのです。彼らが持つ「優秀さ」への意欲は、新しい成功の基準をもたらすことが出来ます。

Pairing and Expanding Your Strengths: Maximizer– Theme Thursday — S2

続いて「才能の未熟/成熟した状態」について、3~5個の異なる視点が紹介されています。ワードに馴染みが無い方のために簡単に説明しておくと、「未熟な状態」とは才能を強みとして認識できていなかったり、むしろ悩ませる要素になっていてどう使っていいか分からない状態。「成熟した状態」は自分自身や他者にとって価値をもたらしたり、成果につながるように使われている状態を言います。

未熟な最上志向
Dismissive(拒否するような)
「私は上手くいっていないことは無視することにする。なぜなら上手くいっていることをさらに良いものにすることにフォーカスしたいので。優秀さに繋がらないことで、わたしの時間を奪わないで」

成熟した最上志向
Selective(選択眼のある)
「どうすれば、ポテンシャルを積極的に選別できるのか?本当に素晴らしいものになる可能性があることに私がフォーカスするには?」

Pairing and Expanding Your Strengths: Maximizer– Theme Thursday — S2

ホストの一人、Jimも上位に最上志向を持っていて、特にマネージャーでこの資質を持つ人にとって「Sort(選別する)」ことは、ほんっとうに大事!という話をしています。

才能の未熟⇔成熟の状態を把握するとき、よく「Me(わたしは)」「We(わたし達は)」という言葉が引き合いに出されます。「Me(わたしは)」は才能が未熟で、自分自身に矢印が向いている状態。

最上志向の場合「Perfectionism(完璧主義)」という表現が使われることもあり、例えばプロジェクトに関わる時、あらゆるステップで「もっと良くするには」という観点を持ち込みたくなる。そうすると何が起こるかというと、一緒に仕事をしようとしている他の人達の良さが、活かされない可能性が出てきます。

「We(わたし達は)」という観点から見ると、何を磨くかに選択的になり、プロジェクトの終盤で「最後の磨きをかける」という立ち位置を選ぶというのは、一つの成熟した使い方です。チームメンバーの強みを活かして最高のチームを作り上げる、というのは最上志向のもつ素晴らしい才能の一つですから、相手を打ちのめすのではなく、力づける方向に使っていきたいですよね。

もうひとつ別の観点から:

未熟な最上志向
「全てが最高でなければならない」

成熟した最上志向
「上手くいっていることの中でどれを、さらに磨けるのか」

Pairing and Expanding Your Strengths: Maximizer– Theme Thursday — S2

わたし自身も上位に最上志向があり、本当に耳が痛いフレーズなのですが、無意識に色んなところで高い基準を求めるクセが。そうするとですね、まず「めっちゃ疲れる」のと、そもそも全てにおいて秀でること自体難しいので、「ガッカリする」回数も増えちゃうんですよね。

「選択する」ことはどの資質の活用に関しても大切なキーワードですが、最上志向の場合

「自分にとって何が一番重要なのか?」
「チームにとって何が一番重要なのか?」

という観点から、限られたエネルギーをどこに注いでいくのかを選ぶことが要です。動画の中ではバカンスの事例が紹介されていましたが、完璧なバカンスにしようとするのではなくて、本当に大事にしたいのは食事なのかアクティビティなのか選ぶことによって、エネルギーを分散させずに本当に素晴らしいものを手に入れられると。

未熟/成熟な状態に関してもうひとつ:

未熟な最上志向
Snobbish(お高くとまった)

成熟した最上志向
Supportive(支援する)

Pairing and Expanding Your Strengths: Maximizer– Theme Thursday — S2

最上志向は「審美眼」がある、なんて言ったりもします。例えばモノやサービスを選ぶとき、自分だけでなく相手がより良いものを手に入れられるようサポート出来るなら、成熟した状態と言えるかもしれません。

補完する資質」のパートは、一緒に組むと面白い相乗効果のある資質について説明しています。もちろん34資質どの資質が上位にある方と組んでもOKで、あくまでもアイディアやインスピレーションを得るための情報です。

紹介されていたのは「分析思考」のパートナー。最上志向が磨くものを選別するとき、「これを磨くことで自分やチームが払うコストは?」という質問を持っておくことが大切なんですね。なぜかというとリターンには自然と意識がいくけど、コスト(特に時間やエネルギー)にやや無頓着な時があるから。その際データ的にはどうなのか、現実的にどうなのか、又は、放っておいても大丈夫なところはどこか、という冷静な視点を持ち込めるのが分析思考の素晴らしいところ。

この資質と一緒に現れやすい/現れにくい資質」は、Gallupのデータベースからの紹介です。最上志向の場合、30%の確率で戦略性がTop5に現れ、傾向性としては「より良くするためのマップを作り続ける」となります。チーム内でこれが発揮されるとかなりパワフルだなあと思うのですが、チームが期待以上の成果を生み出すためのロードマップがあり、かつそれがアップデートされ続けるという。

一緒に現れにくい資質は回復志向、Top5に両方がある確率は1%以下です。回復志向は「私には直すことが出来る!」、最上志向は「なんで壊れているものにフォーカスするの?」という感覚なので、けっこう納得感がありますね。私も最上志向が2位、回復志向は29位、弱みをどうにかするよりは、強みをさらに磨くほうに惹かれます。

もちろん稀に両方を上位資質に持っている方もいます。その場合は「私は壊れているものにひるまない、きっとより良いものに出来る!」というダブルの視点になるので、素敵ですよね。

この資質を上位に持つ人をコーチングするには」は、コーチやマネージャーにとって役に立つパートです。例えば最上志向の場合は上記のような傾向性から「何を手放すのか?」であったり、他者のサポートにフォーカスすることなど、コーチングする際に意識しておくといいポイントについて説明されています。

興味深かったのは、最上志向が描く「理想像」が明確でないと、周りの人とのあいだにズレが生じるという点。自分自身の中でまだボンヤリしていたり言語化されていないこともありますし、チームの場合は特にどんな理想の状態を目指しているかを共有するのは大切なポイントの一つですね。

シーズン1に比べると、資質の概要はかなり濃い~内容になっています。全ての資質について上記の項目に関して、ホストの二人のエピソードも交えながら学べるので、自分の場合はどうか、または周りにいるその資質を上位に持つ方とどのように関われるか、を理解するきっかけになると思います。

シーズン2の内容②:資質のダイナミクス

動画の後半では「Expanding your strengths:Theme Dynamics」というe-Bookのアプリを使いながら、資質の組み合わせについて紹介しています。最上志向の組み合わせを少し紹介すると:

最上志向×コミュニケーション
最も生産的な会話は、チームのベストパフォーマンスや、人の持つ最高のポテンシャルにフォーカスしているときだ。

最上志向×ポジティブ
あなたは悪よりも善に、弱みよりも強みにフォーカスすることを選ぶ。あなたがそのように動くとき、それはエネルギーと希望をもたらす。

Pairing and Expanding Your Strengths: Maximizer– Theme Thursday — S2

アプリの中で紹介されている文章を書いたのは、シーズン1のメインホストCurtなんですね。1~2文のとても短い文章の中に、資質の組み合わせのエッセンスが凝縮された素敵な表現だなあと思います。

また各エピソードで紹介されているのは、5つの資質との掛け合わせだけですが、e-Bookを購入するとアプリから全ての資質の組み合わせを見ることが出来ます。

シーズン2のホスト

シーズン2のホストは、シーズン1に引き続きJim Collisonさんと、前シーズンにも登場したMaika Leibbrandtさんのお二人。少々スピードは速いですが、明確で聞き取りやすいアクセント、かつトーンに抑揚があって、台本を読むのではなくその場で生み出されていく対話がとっても興味深いです。

シーズン2後半ではゲストが登場せず、JimとMaikaの二人だけで進んでいくので、二人の楽しい掛け合いも見どころのひとつです。

シーズン2の動画の長さと字幕について

シーズン2の動画の長さは平均50~60分ほどと、シーズン1よりもやや長めです。

字幕は、Youtubeの画面上の設定から「英語字幕」をつけることが出来ます。ホストの二人のテンションが上がってくるとかなり早口になりますので、聞き取りづらければ英語字幕をつけてチャレンジしましょう。残念ながら、シーズン2も日本語字幕(翻訳)には対応していないようです。

けっこうなペースで字幕が流れていくので、「早すぎる!!」と感じる方は、Youtubeの「文字起こし」を使ってみるのもいいかもしれません。

シーズン2で紹介されているe-Book

最後にシーズン2に登場するe-Book「Expanding your strengths:Theme Dynamics」について、ちょこっとだけご紹介。

前述の通り資質のダイナミクスについてはもちろん、各資質について以下のような情報を読むことができます。

  • Being:あり方
  • Doing:自然と上手くやれること
  • Contribution:貢献すること
  • Requirement:必要なもの
  • Value:価値感(好きなもの/嫌いなもの)
  • Metaphor:メタファー/イメージ
  • Barrier label:障壁

好き嫌いは、自分の価値感の探求にも役立ちそうですね。例えば最上志向の好きなことは「投資に対して最大のリターンがあること」、最上志向の嫌いなことは「弱みを直すことに執着すること」。激しく同感です、笑。

障壁は、この資質が妨げになるケースについて。特に他者からどのように見られる可能性があるか、について書かれています。最上志向は「こだわりが強く、決して満足しない」。見方を変えればプロフェッショナル?と言えなくもないですが、一緒に働く人からすると「どんなに頑張っても認めてもらえない」と映ることも。状況に応じて、緩める術は必要な気がします。

因みにこちらの本、現在英語版のみ、となっています。Gallupの他のリソースに比べるとかなりシンプルで、エッセンスだけを凝縮した本なので、英語OKな方は是非手に取ってみてください。

さてGallup Theme Thursday シーズン2について、いかがだったでしょうか?Youtubeには最上志向以外の33資質のエピソードがあります。「興味が出てきた!」という方は、以下のリンク先から動画を見てみてくださいね。

Theme Thursday シーズン 2: CliftonStrengths Theme Dynamics

▼ストレングスコーチと一緒に、自分だけのダイナミクスを見つける強みの旅へ。

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