この記事ではストレングスファインダーの34資質のひとつ、「分析思考(Analytical)」の持つ世界観やその活かし方について書いています。
分析思考は因果関係を見る
この資質の英語訳であるAnalyticalの語源を辿ると、「ana(バラバラに)+ luo (解く)」という言葉が元になっていることが分かります。分析思考は物事の中にある要素を細かく分解し、要素を把握するだけでなく、その関係性を解明します。
複雑なデータや分析の背景にある、ストーリー(物語)を読み解く天才で、「なぜ?」という問いを繰り返すことで、数字の裏に隠れている事実や本質を明らかにするのです。
「AだからBである」
この因果関係を見つけ出すことに、分析思考は心躍ります。
分析思考は真実を求める
分析思考がなぜデータや情報を集め、分析しようとするのか。
それは「それは真実なのか(Is it true)?」という問いが、常に頭の中にあるからなのです。
これは決して疑り深いということではありません。分析思考は表面的な事実や解釈ではなく、その向こうにある真実を知りたいのです。主観的な意見よりも、検証されたデータや分析に基づく客観的な意見を求めます。曖昧さや矛盾は好みませんし、正確さをとても大切にしています。
例えばコップに水が半分入っているとします。分析思考は「コップに半分も水がある」でも「コップに半分しか水がない」でもなく、「コップの体積の51%の水が入っている」という捉え方を好みます。
楽観的ではありませんが、同時に悲観的でもありません。ただ世界をありのままに見る「Realist=現実主義者」なのです。
分析思考はシンプルにする
When you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth.
不可能なものを除外していった時、どんなものが残っても、それがどれだけ信じられなくても、それが真実なんだ。
ーシャーロック・ホームズ
分析思考は物事のエッセンスを抜き出すことに長けています。海水を沸騰させ、余分なものを取り除いて塩の結晶を生み出すように、あらゆることの中に本質を見つけ出すのです。
一見とても複雑に見える物事も、分析思考の手にかかれば「つまりこう」という、シンプルな言葉で説明されます。決して感覚的な捉え方ではなく、なぜそうなのかを1から10まで論理的に説明ができるだろうと思います。
この特異な才能は、周りに一種の安心感を与えるかもしれません。人は「分からないこと」に不安を覚えます。どんなに価値のあるものも、理解しがたい複雑さを伴っていては、受け入れられないでしょう。
分析思考のもつ物事をシンプルにする力は、私たちが「真実は何であるのか」を理解することを助けます。それは情報が増え、様々なものが複雑化している現代社会において、計り知れない価値を秘めています。
分析思考は冷静さを保つ
分析思考を上位に持つ方は、感情に流されないというか、とても冷静な方が多いようです。物事を理解する時に、客観的な事実は何であるのか探求しようとするため、主観的な要素である感情は一旦脇に置くのでしょう。
もしかすると「この人が心を動かされることってあるのだろうか?」と、周りは疑問を抱くかもしれません。もちろん分析思考にも、楽しい、モヤモヤするなどの感情は存在しています。ただ何かが沸き上がっても「はて、わたしはなぜモヤモヤするのだろう?」とその原因を分析するアナライズモードに入るため、感情の浮き沈みが少なく表面的にはあまり見えにくいのです。
分析思考のもつこの冷静さは、多くの人が感情を揺れ動かされる場面で、とても役に立つだろうと思います。その波に呑まれることなく、事実として何が起きているのか、何が必要なのか、を見つめるそのあり方に、私たちは冷静さを取り戻します。事実と解釈を切り分け、本当は何が起こっているのかにまっすぐ目を向けるとき、私たちは真実を本当の意味で受け入れられるのかもしれません。
分析思考を伝える
「なぜ?」「証拠は?」という問いを分析思考が繰り返すのは、ただ真実が知りたいから。ですが感情表現が控えめなのも相まって、それは時に周りの人に「わたしは信頼されていないのだろうか」という不安を抱かせてしまうことがあるようです。
感情を動かされないからといって、分析思考が周りのことを気にかけていないわけではないのです。むしろそこにある真実に興味を持っている時点で、分析思考にすれば最大級の関心を寄せているのですから。
詰問されていると相手が感じてしまったら、とても残念です。そんな時は「なぜデータや理由を必要としているのか」を言葉にして伝える必要があるかもしれません。
相手を正しく理解したいのだということ。
タスクやプロジェクトの背景を知ることで、よりコミットできるのだということ。
「Why=なぜ?」という問いは、物事に意味を与え、理解しやすくするものです。これまで曖昧だったことが、より具体的になる可能性があります。なぜと問う理由を相手に伝え、一緒に探求することで、分析思考の問いは場に明確さをもたらすでしょう。
分析思考を磨く
We know the truth, not only by the reason, but by the heart.
我々が真実を知るためには、理性だけでなく、心も必要である。
ーパスカル
真実、というのは時に人の心を傷つけます。私たちは弱い生き物で、自分が信じたいものだけを見ていたいのです。傷つくことを恐れ、心を閉じるときには、真実からも目を背けてしまいます。
人の心というのは分析思考にとって、とても曖昧で頼りないものかもしれません。ですが、わたしたちが真実を受け止めるためには、心が開いていることが不可欠です。
ただそのまま真実を伝えるのではなく、どうすれば相手が受け取れるのかに、意識を向けてみてください。信頼関係を築くことが必要かもしれません。なぜこれを伝えるのか、その理由を説明する必要があるのかもしれません。
分析思考は真実に目を向けることで生まれる価値を知っています。あなたが見つけ出したその真実は、相手にとっても、チームにとっても、かけがえのない価値を生み出すはずです。
客観的な視点から物事を見ている分析思考の言葉に、人々は信頼を寄せます。どうかそのユニークな才能を、誰かが真実を見つめる勇気を持ち、未来に希望を抱くことへと役立ててみてください。
この世界の真実を探求し続け、物事をシンプルにする分析思考。
わたしが愛してやまない世界の一つです。