この記事ではストレングスファインダーの34資質のひとつ、「戦略性(Strategic)」の持つ世界観やその活かし方について書いています。
戦略性はパターンを見る
ある勇者が世界を救うため、魔王の城を目指して旅を始めました。
ですが、それがどこにあるのか見当もつかず、勇者は賢者の元を訪れることにしました。賢者は勇者に尋ねます。
「そなたの旅の目的は何か?」
「私は魔王の城へ行きたいのです」
「ふむ、その目的は?」
「魔王を倒し、世界に平和を取り戻すためです」
「なるほど。魔王の城への道は3つあるが、それではこのルートを行くといいじゃろう。そなたの今のレベルではまだ未熟じゃ。旅の途中のこの街で、この人と出会い、一緒に旅をしなさい。そして、この山で伝説の武器を手に入れる。さすれば、城に着くころには、魔王を倒せるレベルになっているであろう」
賢者に似ているかどうかはさておき、はじまりの場所とゴール地点からいくつものパターンを導き出す、これが戦略性のとてもユニークな個性です。しかも、周りの人が「この人の頭の中はどうなってるんだろう?」と不思議に思ってしまうぐらい、彼らの思考パターンは、とてもスピード感があるのです。
「ここに行きたい」というゴール地点が正確に見えると、そこに辿りつくいくつものルートを導き出し、最も最適な道を選びます。はたから見ていると、まるで賢者のようにその先に何が起きるかを知っているかのようです。
プロジェクトを成功させたり、新しい商品のセールスであったり、様々な分野で活躍する、とてもユニークな才能です。
戦略性は全体像を捉える
「Bird’s eye view」という言葉があります。直訳すると、「鳥の視点から見る」というような意味なのですが、転じて「俯瞰する」という意味でも使われたりします。
戦略性の視点は、まさに鳥が空から地上を眺めるのに似ています。物事からズームアウトして、全体図を捉えることに長けているのです。
例えば目の前に大きな岩があると、人は「ここからは進めない」と立ち往生してしまうことが多いものです。戦略性はそのユニークな視点から物事を眺めることで、迂回する別のルートを見つけたり、もしくは、もっと良いルートを見つけ出すことができます。他の人には見えない道が、彼らには見えるのです。
じっとルート検索をしているときの目は、まるで空中から獲物を狙う鷹のよう。とても鋭い光を放ち、活き活きと輝いています。それは戦略性にとって、とてもワクワクするような瞬間でもあるようです。
戦略性は先を読む
イメージが浮かぶのは序盤と終盤である。
浮かんでしまえば、あとは中盤でその間のつじつまを合わせればいい。
~羽生善治~
戦略性はよく、将棋やチェスに例えられます。彼らの特徴は、常に「What if ~(もしも~だったら)」について考えていること。
プロの棋士は100手先まで読んで次の一手を決めるそうですが、戦略性もまた
「もし、こうしたらどうなるだろうか」
「その次はどうなるだろうか」
と、いくつも先のパターンまでよんでいます。
大切なことはゴールまで辿りつくことなので、途中で進めなくなったら、別のルートに即座に切り替える柔軟性も持ち合わせています。
多くの場合、プランAだけでなく、プランBやCなどのオプションを同時に準備して、目的地に辿りつくベストな方法に、切り替えられるようにしているようです。
戦略性を動かす
とてもユニークな思考回路を持つ戦略性。全体像を眺めたい、という思いから、「見えない部分」があると、先に進めなくなってしまうことも。
戦略性は始まりの場所とゴールからパターンを導き出す天才なので、そんなときは「現在地」を変えると前に進みやすくなるようです。カーナビを使っていて違う道に入ってしまったとき、自動で目的地までの新たなルート検索が始まるように、戦略性を再起動させるのです。
例えばその件について誰かと話してみるとか、現場に足を運んでみるとか、とにかく何かしらの「行動」を起こすことで、自分の現在地が変わります。それによって、新たなスタート地点からゴールまでのパターンを、再度考え始めることが容易になるようです。
戦略性を活かす
All journeys have secret destinations of which the traveler is unaware.
どんな旅にも旅行者自身も気づいていない秘密の目的があるものである。
ーマルティン・ブーバー
人は仮に叶えたい夢があったとしても、目の前に障害物が現れるとやる気を失ったり、辿りつくこと自体を諦めてしまいます。
大空から地上を眺める鳥のような視点で、「どこかに進める道は無いか」と、常に別のプランを考え続ける戦略性の思考は、組織や人にとってとても価値があるものです。
戦略性が見ている景色は、他の人には見えないものです。是非その類まれな才能を、組織や人が夢を叶えるために、活かしてほしいと思います。
「こっちからなら、行けるかもよ」と、あなたにしか見えていないルートを、伝えてあげてほしいのです。
目指す目的地へと辿りつくための旅路は、途中で諦めると得られなかった、多くの学びや気付きを与えてくれます。それはもしかすると、ゴールに到達すること以上に、相手の人生にとって、とても価値のあることかもしれません。
世界を大空から見つめ、あらゆるパターンを見つけ出す戦略性。
わたしが愛してやまない世界の一つです。