この記事ではストレングスファインダーの34資質のひとつ、「自我(Significance)」の持つ世界観やその活かし方について書いています。
自我は重要感をもたらす
自我の英語訳は Significance=「重要感」。この資質が誤解を受けやすいのは、おそらく多くの人がEgo=エゴと捉え違えているからだと思います。
自我は自己重要感を大切にしています。自己重要感とは「自分は特別な存在である」と感じられること。これは自我だけでなく、すべての人にとって生きていくうえでとても大切なことです。
成熟している自我は、この自己重要感を他者にももたらすことができます。相手がどんなところを認めてほしいのかが分かりますし、またそれを率直に伝えることができます。相手以上に、発揮できていないその人だけの才能や可能性を見出すことができるのです。
自我は「その人だけの価値の素晴らしさ」を相手にも、周りの人にも分かってほしいと思っています。また、「自分を大切にしているからこそ、誰かを大切にできる」という、人間の本質ともいえることもよく分かっています。
だからこそ、他者や会社や社会のために自分を犠牲にしている人を見ると「なんで自分を大切にしないの!?」と本気で怒ってくれたりするのです。
自我は足跡を残す
自我はただ意味もなく他者からの承認が欲しいのではありません。
生きているかぎり、人は世界に影響を与えている。自我はそれを知っています。だからこそ、自分の与えるインパクトがより素晴らしいものであったり、価値のあるものになるように、どこまでも頑張ることができます。
自我が承認を必要とするのは自分の行動のインパクトを確認するため、そしてさらに高みへと昇るエネルギーを充電するためであって、承認そのものは最終的なゴールではありません。
自我はその類まれなエネルギーでもって、他者やプロジェクトや会社そのもののレベルをも引き上げます。「これはとても価値のあることだ」と言葉にすることで、周りに影響を与えることができます。
彼らが追いかけているのは「普通に仕事をこなす」みたいなことではなく、誰かの心に残り続けるような、その人の世界を変えてしまうような、そんな価値のあることなのだと思います。
自我は勇気を与える
自我の英語訳は初期のころは「Desire=願望」だったそうです。
自我は世界に影響を与えて、もっと良いものにしたいと願っています。彼らがたどり着こうとしている場所は、他の人が考える場所よりもはるか彼方にあります。
「もしこれが実現できたらもっと素敵なのに」
そんな願いを実現するために、他の人が躊躇するようなことにも果敢に挑戦します。
そんな自我の在り方は、他者をインスパイアします。おそらく相手が一人では行けなかった場所、想像もしなかった場所へと、行ってみる勇気を与えることができるのです。
成熟している自我は「与える人」でもあります。相手の才能や可能性を、惜しみなく褒めたたえます。同時にそこから、自分のエネルギーともなる承認を得られることを知っています。
承認のサイクルを起こし、誰も想像しなかったような場所へ自分と周りの人々を連れていける、それが自我のとてもパワフルな、そして人間味のある強みです。
自我を可愛がる
自分がやっていることが世界にインパクトをもたらしている、そのことを実感するために他者の承認を必要とする性質上、自我にはとても「寂しがりや」な一面があるのかなと思います。
成熟している自我は、そのエネルギーを他の上位資質と組み合わせて、まず誰かの役に立つことをやってのけ、結果的に他者承認を手に入れて、それをまたエネルギーに変える、というサイクルを回しているように見えます。他者の承認が目的ではなくて、結果へと変わっていくのです。
そんなときに自我の言う
「私は褒められて育つのでどんどん褒めてください!」は
なんだか本当に可愛らしくて
「仕方ないなあ、もう(笑)」
と周りに言わせてしまうような無邪気さを持ち合わせています。
自我は世界ではどちらかというレア資質の類に入ります。Top5への現れやすさは30位前後です。でも日本での順位は中位あたり。
「自己犠牲は美徳」と長い間されてきたこの日本では、本当は自分を大切にしたい人がたくさんいるということなのではないかと私は思うのです。
「私は自分を大切にしている」
「私は自分が好きだ」
と声を大にして言えることは、とても価値のあることです。
自我の在り方は周りに影響を与えます。
「私も自分を大切にしていいのかな」
そう思える人を、あなたの知らない場所でもきっと増やしています。
そんな価値を提供できるあなただからこそ、自我が寂しがらないように、自分が一番可愛がってあげてほしいのです。自我が拗ねちゃうときには、「困ったやつだ」なんて言わずに「うんうん、頑張ったもんね」ってかまってあげてほしいのです。
自我はストレングスファインダーの本質
ストレングスファインダーは人のタイプ分けテストではありません。人が本来持っている才能にスポットライトを当てて、全ての人に価値があるということ、そして全ての人は唯一無二の存在であるということを、教えてくれるものです。
ストレングスファインダーを生み出したドン・クリフトン博士は、Top1に自我をもっていたことで知られています。博士自身が軍隊を退役したあと、才能があるにも関わらず社会のなかで自分の価値を感じられないでいた退役軍人たちを見ていて、その才能を活かす方法を考えたのがきっかけだったとか。
「この価値のあるものを人々が知ったら、世界にどれだけのインパクトがあるだろうか?」
もしこの自我特有の思いが無かったら、ストレングスファインダーは大学の研究室の棚に眠る論文のままだったかもしれません。
人はそれぞれ価値があって大切にされるべき存在、それを誰よりも知っている自我。
わたしが愛してやまない世界の一つです。