ストレングスファインダー「親密性」の世界

ストレングスファインダーの親密性

この記事ではストレングスファインダーの34資質のひとつ、「親密性(Relator)」の持つ世界観やその活かし方について書いています。

親密性は深める

親密性、と聞いて一番最初に浮かぶ言葉は、「狭く深く(Narrow and Deep」です。大人数でのやり取りよりも1対1の対話を好み、特定の相手との関係性をじっくり深める傾向があります。

自分の周りに見えないサークルのようなものがあって、相手がその内側に入ってもいい人かどうか、その境目がかなり明確に分かれているだろうと思います。サークルの内側の人にはオープンに接しますが、外側にいる人には少し閉じているような印象を与えるかもしれません。

なぜこのような傾向性があるのかというと、親密性は人との関係性において「本物であることGenuine」をとても大切にしているからなのです。嘘をついたり隠し事をすることを好みませんし、相手に対しても出来れば率直でいてほしいという願いがあります。

初対面では中々この段階まで関係性ができることはありませんから、もし少し距離を感じたとしても仕方のないことだと思います。

友人が少ないとか、小さな輪の中にいる、というような誤解を受けることがありますが、これもどちらかというと結果に過ぎません。時間をかけてゆっくりと、がそのプロセスの特徴ですから、親密性が求めるような関係性をたくさん持つには、一度の人生ではまるで足りないのではないかと思うのです。

人と人の関係性において、一段深いレベルへ踏み込むことは、ある種のリスクを伴うものです。職場以外での、相手を取り巻く環境について私たちが知るとき、ただ単純に「もっと頑張れ」という言葉は言えなくなってしまうかもしれません。

どんなことであれ、相手の全てをシェアしてほしいという親密性の才能は、勇気と受容に満ち溢れています。

親密性は理解する

親密性がなぜ「狭く深く」という関係性を望むのかというと、そこには「自分が自分のままでいられる場所を持っておきたい」という価値観が影響しているかもしれません。親密性にとって自分の輪の内側というのは、家のようなものなのです。自分を守ることにエネルギーを使わなくていい場所、ありのままで安心していられる場所。

親密性はとても繊細な部分を持ち合わせている、と私は思っているのですが、お互いのことを深く理解している人が近くにいるとき、安心して才能を発揮できるのではないかと。

親密性の英語訳は「Relator」です。「関係させる」という意味をもつRelateという動詞の名詞化したものですが、この単語にはもう一つ「物語を語る」という意味があります。
資質のネーミングの際、そこが考慮されていたかどうかは定かではありませんが、親密性と物語(ストーリー)は切っても切れない関係にあるだろうと思います。

相手の持つストーリーに関心を寄せる資質は、他にも個別化や原点思考などがありますが、親密性の動機になるのは「相手のことをもっと理解したい」という思いです。誰にでも興味がある、という訳ではなく、自分の内側の輪の中に入っている人に対し、その人をよりよく理解するためにもっとストーリーを聞きたいと思うのです。

親密性の関係性の築き方というのは、ある種シンプルで、まず自分が心を開き、自分自身のストーリーを語ります。人と人の関係性は鏡のようなもので、そうすることで相手もまたストーリーを語りやすくなります。そうやって一段深いレベルでの対話のキャッチボールを繰り返すことで、安心できる本物の信頼関係が作りあげられていくのです。

一度関係性が出来てしまうと、親密性にとって物理的な距離は障害にはなり得ません。相手をより深く知り理解することで、例え遠くに離れていたとしても、「あなたのこと、いつも気にかけているよ」というメッセージを送り続けられる、とてもユニークな才能です。

親密性は愛する

We cannot do great things. But we can do small things with great love.
「私たちは、この世で大きいことはできません。 小さなことを大きな愛で行うだけです」

~マザー・テレサ~

親密性を表すキーワードの一つは「愛(Love」です。

一度深い繋がりを築いた相手との関係は、よっぽどのことが無い限り、何年にも渡って続きます。その人のために自分が出来ることは何だろうか、どんな風に支えられるだろうか、と自分自身を顧みずにエネルギーを注ぐような一面もあります。

友人や同僚であっても、まるで家族のように接したりします。相手を常に気にかけ、相手のために本当に必要なことであれば、少々耳の痛いことでも率直に伝える勇気も持ち合わせています。

同時に一度関係性を築いた相手には、かなりの寛容さをもって接します。まるで親が子供のわがままを許してしまうように、自分が信頼している相手が何をやっていても「今回だけだよ」といって、受け入れてしまうようなところがあるのです。

親密性が求めているのは「全ての人に愛を注ぐ」ようなことでは無いだろうと思います。身近にいる大切な誰か、その人を理解し、赦し、慈しむことで、その深い愛の輪が少しずつ世界に広がっていくことを、どこかで知っているのかもしれません。

親密性を慈しむ

親密性のエネルギーが下がっている時は、自分にとって心を赦せる大切な人達との時間が足りていないときだろうと思います。例えば仕事が忙しかったり、考えることがたくさんあったり、日々の生活に流されてしまうと、気づかないうちにそのチャージ時間が減っているかもしれません。

親密性にとって大切な家族や友人と過ごす時間は、本人が思っている以上に価値のあるものです。ちょっと時間をとって夕食を一緒に食べて、他愛のない会話を交わす。久しぶりに電話をして相手の声を聴く。それだけでも、ビックリするぐらいにエネルギーが湧いてくるだろうと思います。

自分が自分のままでいられる場所」というのは、誰にとっても安心できる巣のようなものです。時々巣に戻って羽根を休める時間を持つことは、親密性以外の才能を存分に発揮する上でも欠かせない要素です。

親密性を開花させる

どんな才能にでも未熟な状態と成熟した状態が存在しています。無意識のパターンを意識してコントロールしていくプロセス、それこそが「強みの旅」と呼ばれるものです。

未熟な状態の親密性は、人間関係に対してどこか「全てか無か(All or Nothing)」な部分があって、親友になれそうになかったらすぐシャッターを下ろしてしまう、みたいなことがあるかもしれません。

この才能を育てていくうえでまず意識するといいのは、「色んなレベルの親密さを持つことを自分に許す」こと。例えるなら、家の庭の門まで来れる人、玄関先のポーチまでの人、玄関に入れる人、リビングに入れる人、自分の部屋に招き入れる人。家に入れるか否か、だけではなく、いくつかの広がりを持たせておくのです。

そして、二つ目はその色々な関係性を育てていくこと。親密性にとって「自分が自分のままでいられる人」が近くにいることは、とても力になるもの。
家族や友人だけではなく、職場にもそういう存在が一人でもいれば、エネルギーがもらえます。人とじっくりと関係性を築いていくことができる、その才能を使って、今ポーチまで来ている人ともう一歩深い関係性を築くために、自分はどんな関わり方が出来るのか、考えてみましょう。

あなたが安心できる場所を一つ増やすことは、同時に相手にとっても安心できる場所を作ることになります。特に組織において人が才能を発揮する上で、この「安心感」というのはとても重要な鍵になります。
 
親密性の類まれな才能は、リピーター顧客が生まれやすいことでも知られています。「あなたのためなら」そう言ってもらえるような関係性を作っていくことが、あなた自身だけでなく、周りの人にとっても計り知れない価値をもっていることを、どうか忘れないでください。

身近な人達への深い理解と愛で、世界を包み込む親密性。
わたしが愛してやまない世界の一つです。

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