この記事ではストレングスファインダーの34資質のひとつ、「学習欲(Learner)」の持つ世界観やその活かし方について書いています。
学習欲は学ぶ
学習欲はその名の通り、「学ぶ」才能です。しかも、学んでいるときに、ワクワクする、楽しい、面白い、などポジティブな感情を伴うユニークな強みです。
色んな事に好奇心があり、新しい何かを学ぶことに、まるでブロックがありません。小さいころから「勉強は決して嫌いではなかった」という人も多いようです。いつも子供に「勉強しなさい!」と言わなければいけないお母さんからしたら、なんとも羨ましい話ではないでしょうか。
学習欲が学ぶ対象は、勉強や習い事にとどまらず、人や出来事も含まれます。相手の言動や、目の前で起こる出来事、「これは面白くないな」と多くの人が思うようなセミナーからでさえ(!)、彼らは何かを学ぶ力を持ち合わせています。
学習欲にとって、この世界そのものが、リソースの宝庫といっても過言ではありません。
学習欲はプロセスを楽しむ
I am always doing that which I can not do, in order that I may learn how to do it.
私はいつも自分のできないことをやる。そうすればそのやり方を学べるからだ。
ーパブロ・ピカソ
学習欲を突き動かしているのは「分かりたい」という欲求です。今まで分からなかったことが、分かるようになることが、楽しくてたまらないのです。
そのため学習欲は、資格を取得したり、試験に合格するといった結果よりも、「分かった!」の瞬間が繰り返される、学びのプロセスそのものを好みます。
この資質のユニークな強みのひとつは、この学びのプロセスにいるとき、そこから驚くほどのエネルギーを得られるということでしょう。一般的には、新しく何かを学ぶことには、むしろエネルギーを消費しそうなイメージがありますが、学習欲は逆。学べば学ぶほど、分からないことが分かるようになればなるほど、どんどんエネルギーが湧いてくるのです。
最近元気が無いな、と感じるとしたら、
「今何か新しいことを学んでいるか?」
自分に尋ねてみてもいいかもしれません。
新しい習い事や、スポーツ、旅に出ること、料理など。新しい世界に出会うことで、学習欲はイキイキと動き始めるだろうと思います。
学習欲は質問する
“The important thing is not to stop questioning; curiosity has its own reason for existing.”
疑問を持ち続けることが大切だ。好奇心の存在には理由がある。
ーアインシュタインー
「ママ、どうして空は青いの?」
「先生、どうして飛行機は飛ぶの?」
小さいころには、「分からない」ことがあるのは、当たり前でした。それを尋ねても大人たちは、「なんだ、そんなことも分からないのか」だなんて、言ったりしなかったのです。
ところが大人になると、「分からないことを尋ねる」ということが、なんとなく難しくなってくることがあります。「 分かりたい」という願いは、「こんな簡単なことも分からないと思われたらどうしよう」という怖れに、負けてしまうのでしょうか。
学習欲にとって、「自分にはまだ知らないことがある」ということは、子供のころも大人になってからも変わりません。世界は不思議に満ちていて、まだまだ分からないことがたくさんある。それは学習欲にとって、揺るぎない真実であり、大きな可能性でもあります。
学習欲は知りたいと思ったことについて、質問することをためらいません。分からないことは、自分よりももっと知っている人に尋ねてみたい。そこにあるのは、ただただシンプルな好奇心なのです。
こうした学習欲の姿勢は、職場であれ、学校であれ、しばしば学びの場に影響するようです。人は問われると、答えを出そうとします。教えている側も、他の人達も、その問いについて考え始めるのです。それは、場の学びの質を広げたり、深めたりすることが出来る、とても価値のある学習欲の才能の一つです。
学習欲を促進する
結果よりもプロセスを好む、というその性質ゆえか、学習欲はある程度のレベルまで学びが深まると、次の学びに移りたくなるという方が多いようです。もちろん新しいことを学ぶのはいいのですが、かなりのレベルまで到達したにも関わらず、それをお蔵入りにしてしまうのは少し勿体ない気がします。
才能を強みとして活かす、ということは、誰かのために役立てることです。学習欲の類稀な才能は、「アウトプットする」ことによって活かされます。
誰かに教えたり、学んだことを記事に書いたりすることで、学習欲の強みはさらに強化されます。なぜなら私たちは、自分が分かっていないことを、誰かに教えることは出来ないからです。
アウトプットを前提に学ぶとき、その学びの質は3倍にもなると言われています。「この学びを誰に届けるのか」そんな視点から、学んでみるのもいいかもしれません。
学習欲で世界を発見する
新しい情報や、新しいやり方、新しい考え方。学習欲はこの世界で出会うものに、とことんオープンです。
豊かな好奇心ゆえに、色んなことに関心がいってしまうのですが、時々自分に尋ねてみるといいかもしれません。「私はなぜ、これを学ぶのか?」と。
才能の欲求に任せて、散り散りに色んなことに手を出すと、一回分の人生の時間ではとても足りません。焦点をぐっと絞れば、学び上達させるその豊かな力を、自分自身や周りの人にとって価値のあることに、注ぐことが出来るでしょう。
また組織でも、家庭でも、人が生きていると常に新しいチャレンジを求められる時がやってきます。分からないことだらけの初期段階で、投げ出してしまう人もいるのではないでしょうか。
そんなとき、「分からないこと、まだ上手くできないことがあるのは当たり前だ」という学習欲のあり方は、周りに安心感をもたらします。それは決して悪ではなく、ただ単にプロセスの途中でしかないことを、彼らは知っているのです。
世界で生まれた多くの発見は、こんなシンプルな好奇心と、世界へのオープンさと、学び続ける情熱から生まれたのかもしれません。学習欲が持つそのユニークな才能は、本人の世界だけではなく、周りの人たちの世界にも多くの発見をもたらし、視野を広げてくれるだろうと思います。
この世界に誰よりも好奇心を抱き、分かりたいと願う学習欲。
わたしが愛してやまない世界の一つです。