「幸せ」をプロデュースするブライダル企業の「幸せ」の定義
結婚式とは、「自分はこんなにも幸せだったんだ」ということに気づく日です。
これ、以前働いていたブライダル企業での「結婚式の定義」です。
結婚式では通常、新郎新婦は「幸せになります」と宣言し、招待客は「幸せになってね」と言う場面が多いもの。ですがこの会社では、お二人が「もう今すでにこんなにも幸せだった」と気づけるように、一日をプロデュースしていました。
「幸せに気づく」という表現は、「幸せはすでにそこにあるが、時に気づかないものである」という考えに基づいています。「水のありがたみに気づく」「自分の強みに気づく」のように、既に存在しているものを認識するという物の捉え方ですね。
結婚式を「幸せに気づく日」と定義づけると、一緒に人生を歩みたいと思える人に出会えたこと、ここまで育ててくれた両親の存在、自分たちの門出に集まってくれる友人の存在、ありとあらゆることに自然と「感謝」が湧いてきます。新郎新婦の意識は、招待客に「おもてなし」をすることに注がれ、招待客は二人の真摯な気持ちに心を動かされ、幸せの連鎖が起きていくのです。
「幸せ」の後ろに続く表現を少し変えるだけで、「幸せ」の概念すら変わって見えてきますよね。
動詞が変わると、見え方そのものが変わる
こんな風に後ろに続く動詞を少し変えるだけで、言葉の概念そのものが変わって見えることはよくあります。「幸せ」の事例では「ある/ない」という二つの視点のみでしたが、実際には様々な視点から、ひとつの概念について考えてみることができると思います。
例えば、「好きなこと」という概念に対して10の動詞を当てはめてみると:
- 好きなことを味わう
- 好きなことをリスト化する
- 好きなことを始める
- 好きなことを発信する
- 好きなことを形にする
- 好きなことを極める
- 好きなことを語る
- 好きなことに出会う
- 好きなことに投資する
- 好きなことに妥協しない
あなたがしっくりくる表現、反対にしっくりこない表現はどれでしょうか?そう思う理由は?
私の場合「好きなことを極める」「好きなことを発信する」という表現にはワクワクしますが、「好きなことに投資する」「好きなことに妥協しない」という表現は少し真面目さが加わって重たく感じます。
コーチングではよく「視点の変化(シフト)」と呼ばれますが、物事を別の角度から眺めることで世界の捉え方そのものが変わることがあります。問題だと感じていたことが問題ではなくなったり、別のアプローチが見つかることも。ですから、常に自分なりの言葉の定義、自分なりの視点を探し続けたいですね。
因みに人はパターン化する生き物なので、自分が普段使う表現もパターン化していたりします。私は自分以外の視点を取り入れたい時は、よくChatGPTを活用したりします。「”好きなことを〇〇”、の〇〇にはいる動詞を10個考えて」と尋ねてみても、面白いかもしれませんね。