個人セッションや、ワークショップを受けられる方から
「数年前に診断を受けたのですが、受けなおしたほうがいいですか?」
と、ご質問をいただくことがあります。
原則としてストレングスファインダー®は、何度も受けなおす必要がありません。
何度も受けると何が起こる?
アメリカの分析会社であるギャラップ社が提供している診断テストは、とても精密に出来ています。答える質問は177個ですが、準備されている質問はそれをはるかに超える数。選択肢によって、細かく枝分かれしていくのです。
そのため、例えば「戦略性」の資質が上位に上がってきてほしい!!、なんて秘かな願望を抱いても、こちらが結果を操作することはほぼ不可能である、と言われています。
では何度も受けても大丈夫か、というと『バイアス』がかからないとも言い切れないのが正直なところ。特にストレングスファインダー®がすごく好きで、各資質の特徴についてよく理解している場合、診断に出てくる問いがどんな傾向性について尋ねているのか、なんとな~く分かってしまうことがあります。
そういう意味で、2度目以降の診断については、よっぽどの事情が無い限りは、受けることをお勧めしていません。「最初の診断結果のTOP5が気に入らないので、すぐにもう一回受ける」なんて場合には、自然体の感情・思考・行動のパターンではなくて、『こうなりたい』という憧れが結果に反映されちゃうかもしれません。
最初の診断が一番ニュートラル
ストレングスファインダー®の診断は、最初に受けた時が、一番自然な状態の結果を見せてくれます。特に『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』の中身も読まず、資質に関する知識がゼロの状態で受けるのが、お勧めです。
それは本当に純粋な、無意識の感情・思考・行動のパターンだからです。
最初の診断結果に納得がいかなくても、腹落ちしなくても大丈夫。無意識すぎて、自然にやりすぎていて、それが才能だと言われてもピンとこない、というのが多くの人の反応です。例えば資質のプロファイリングやコーチングを受けたりして、自分の日常と才能が繋がると、皆さん納得されます。
またストレングスファインダー®には、上位資質と呼ばれる上位1~15番ぐらいの資質があり、状況に応じて上下が入れ替わることがあると言われています。その時必要なものが成長して、上位に上がるイメージです。
二度目の診断を受けてTOP5が入れ変わっていて驚かれる方がいますが、もともと上位にあった資質である可能性がおそらく高いかと思います。
資質は自分の才能を知るための『鍵』でしかないので、例えば最初の診断のTOP5でどうにかしなければいけない、ということでは無いんですね。
あくまでも今、こういう傾向性があるよ、ということを示すものですので。
そこからコーチングの対話を通して、
・行動にドライブをかけられる要素は何か
・行動にブレーキをかける要素は何か
のように自己理解を深めていくものですし、自分を様々な側面から観察し、承認し、その能力を誰かのために活かしていくことで、自己成長を促すものでもあります。
「TOP5がこれだから、この道を選ぶ」みたいに、資質に人生のハンドルを握らせちゃう、なんて本末転倒なことにならないように。人生の主人公は資質ではなく、あくまでも「あなた」なのですから。
診断を受けなおしてみてもいいのは、どんな時?
因みにストレングスファインダー®にも、受けなおしたほうがいいかもしれないですね、という時がいくつか存在しています。
例えば転職したとか、昇進してマネージャーになったなど、自分の周りの環境が変わったり、役割が変わったときなどです。生き物が環境の変化に合わせて自分を進化させていくように、人ももちろんその適応力を持っています。
特に以前に受けた診断結果が、今はしっくりこない、という場合などには受けなおしてみてもいいかもしれません。それでも多くても3年に1度ほどのペースで十分だと言われています。
私個人的には、最初の診断結果を使って一度プロファイリングを受け、子供時代にどんな風に才能が表れていたか、深堀してみるのがお勧めです。無意識のパターンは子供の頃の体験や経験から生まれるものも多く、とてもナチュラルな自分の才能について知ることが出来ます。
もちろん成長の過程で、例えば学校や社会に出てから身に着けた才能も有りますから、少し長い時間軸で、自分について観察してみるのも面白いですよ。過去に起こった様々な経験が、今のあなたを創りあげているということが腹落ちすると、色んなことに繋がりが生まれます。
ということで、色々書きましたが、最終的には自分が納得していること、が一番大切だと思います。私も4年前の診断結果を公式に使っていて、理由はストレングスコーチになるための研修で提出した結果で、一番愛着があるから。
上位が多少入れ替わっているだろうなあ、という自覚はありますが、自分らしいやり方で幸せに生きていくためのツールですから、順位の誤差はあまり大切なことではありません。
一度診断を受けてあまり納得がいっていない方は、是非一度資質のプロファイリングなどを受けてみてくださいね。一番自然体の、つまり無理なく発揮できる才能を、知るチャンスですから。