16年やっていたパティシエからコーチに転職した私が考える「やりたいことの見つけ方」について【後編】

子供の頃の夢を叶えてパティシエの世界に16年いた私ですが、そんなに好きだった世界から、なぜコーチに転職したのですか?という質問、よくいただきます。

今ちょっと迷子だという方が、ここからどこへ向かうのか、そのヒントになるかもしれないので、参考程度に私の実体験と「やりたいことの見つけ方」についての視点を書いてみます。

16年やっていたパティシエからコーチに転職した私が考える「やりたいことの見つけ方」について【前編】

心は「やりたいこと」を見つけるアンテナ

「やりたいこと」を見つけるときに、心=感情の動きが鈍ってると、けっこう難しいと思います。子供の頃って誰でも無邪気に「面白そう!」とか「楽しい!!」みたいな感情って湧いてくるものなんですが、大人になるとここに、邪念が入ってくる。

「これでものになるのか?」とか、「今と同じ給料ぐらい稼げるのか」とか。もちろん家族がいたり、それぞれに事情があるでしょうから、子供の頃のように無邪気に、とはいかないのも分かるんですけど、この邪念が一番「やりたいこと」を見つけるレンズを曇らせちゃう。

人って論理的に考えてるとき、つまり「何をするべきか」「どうするべきか」を考えるときって、心が完全停止してしまって、仮に視界の中に「やりたいこと」があったとしても、キャッチできなくなる

「やりたいこと」が中々見つからない、と感じている人は、まずは心を動かすトレーニングから始める必要があるかなあと思っていて。「最近何に感動しましたか?」って質問にスラスラ答えられるのかっていう話で。

「やりたいこと」って、人生のテーマとしては大きいですよね。今日の夕飯に自分は何を食べたいのか、真剣に考えてみるところから、始めてもいいと思うんですよね。人生はそういう小さな選択の積み重ねで、出来ていくものなので。

「見つからない」を意識すると、脳に何が起きるか

「やりたいことが見つからない問題」について、もうひとつ押さえておきたいのは、脳のメカニズムについて。

脳はイメージする力がとても強くて、「やりたいことが見つからない」って、シンプルに言うと「無い状態」をずっとイメージしていることになるんですね。

なので「見つからないなあ」とか「好きなことが無いなあ」と思えば思うほど、それが現実になる。よく探し物をしているときに、ふと探すのを止めてみると、思わぬところから出てきたりするじゃないですか。あの感覚に近いものがあるかなあと。

「どうしたら好きなことを見つけられるんだろう?」と、「わたしの好きなことって何だろう?」って、同じようで違う問いなんですよね。最初の問いは「How=やり方、手法」を探すもので、二つ目は「What=何」を探すもの

例えば小説家になりたいとか、海外で働きたいとか、好きなことややりたいことが明確になってたら、「How」って役に立つんです。どうしたらそこに辿りつけるかだから。でも目的地が明確じゃないと、そこへの行き方って探しようがないじゃないですか。

あともうひとつ思うのは、「なぜやりたいことを見つけたいのか?」ってこと。インフルエンサーがそう言っている!とかじゃくて、自分なりの理由です。やりたいことが見つかると、自分に何が起きると感じてる?ってことなんです。

ここにはけっこう大きなヒントがあって、「もっと自分に自信がもてる」とか「今の仕事を辞められる」とか、本当に望んでいることが出てきたりします。そうすると色んなアプローチで実現可能ですよね。本当の課題は「やりたいことが見つからない」ではなかったりするわけです。

「特にこれというやりたいことは無いが、めっちゃ幸せ!」という人は世界中にたくさんいます。やりたいことで生きていくことだけが、人生において重要なことではないはずなのです。あなたはなぜ、やりたいことを見つけたいのですか?

手段が目的になると、迷子になる

最近よく「起業したいんです」というご相談をいただきます。同時に「起業したんですけど、急にやる気が無くなっちゃって……」というお声も。

「起業できるかどうか?」に対する私の答えは一択で、「出来ます」。本当に簡単です、税務署に紙一枚出すだけなので。コーチの場合、国家資格が必要なわけでもないので、それこそ名刺1枚で今この瞬間から始められます。(職業として食べていけるかどうかは別の話)

で、ここからがすごく大切で、「あなたは何のために起業するんですか?」ということです。この答えが明確であればあるほど、成果がでると思います。これは起業に限らず、自己理解でも、ストレングスファインダーを扱うのも一緒。

なんのためにやるのか?」って、自分なりの目的地で、そこに旗をまず立てる必要があるあるサービスをたくさんの人に届けたくて、でも会社員でそれをするのは様々な理由で難しい。となると、起業は目的地へ辿り着くための通過点になります。

手段が気づかないうちに目的になってしまうことって、すごく多いし、やっているうちに立てたはずの旗が見えなくなることもあって。そうすると「わたしは今ここで何してるんだっけ?」という状態が出来てしまう。

自己理解も同じです。自己理解したらやりたいことが見つかるんじゃなくて、やりたいことを見つけるために自己理解する。旗を立ててないと、そのうち自己理解そのものが目的になってたりします。ま、それはそれで価値はあるんですけど。

自分を動かすことを、始める

色んなクライアントさんをサポートしていて思うのは、「ひとまずじっくり自己理解から」という方ほど、「やりたいこと」が早く見つかる可能性が上がっているということです。すぐに見つからなくてもいい、腰を据えて自分を見つめてみたい。そんなスタンスなのかな。やりたいことにいつかは出会いたいけど、ひとまず自分も知りたい、みたいな。

人は落ち着いていると周りにあるものがよく見えるし、よく気づきます。反対に焦っている時、何かに囚われている時は、視野が狭くなって世界も狭くなってしまう。周りが見えないときほど人は不安を感じるので、動きも鈍くなる。

でも物事に変化が起きるのは、自分の内側で起こった変化を、外側の世界に表現できたとき。つまり行動を起こしたときなんですね。しかも、動けば動くほど、色んな視点が手に入る。

「やりたいことが見つからない」と、行き詰まりを感じている時は、まず立ち止まって現在地を確かめてから、次に「動いてみる」のが大切です。自分の中にある地図にはGoogleマップが無くて、A.I.には頼れないし、正解も無い。

でもだからこそ、無限の可能性があるし、自由に旅できる

自分がこれまでに歩んできた道も、これから歩んでいく道も、他の誰にも真似できないし、誰も歩けない。この道を、この人生を、楽しむ覚悟が出来た時、世界は今よりずっと広がって見えて、美しくなる気がします。「やりたいこと」はきっと、その道の途中で出会えるものなんじゃないかしら。

Bon Voyage.
よき、旅路を。


16年やっていたパティシエからコーチに転職した私が考える「やりたいことの見つけ方」について【前編】 「やりたいことが分からない問題」はIkigaiチャートで説明できるかもしれない