▷【可能性を探求する旅】Points of Youアカデミー「Creative Practiceワークショップ」in 長野

感性を磨くことは、自分らしさに繋がる

16年間職人をしていて、レストランでデザートの創作をしていたためか、
「どうやったら、そんなアイディアが出てくるの?」
「クリエイティブになるにはどうしたらいい?」
と質問されることがあります。

う~ん、なんか降りてくる。いや実際降りてくるんです、ホント。デザートの色や質感のイメージとか流れ。

今だったらワークショップの空間のイメージとか。講座の中のデザインとか。どうしたら自分の世界観を表現できるか、もっと研いでいけるかをすごく大切にしています。

「創造力がある=感性が豊か」

創造力って結局、既にあるものを繋げることなんです。この世に存在する何かしらと何かしらをくっ付けて、別の新しいものを生み出す力のこと。感性が豊かな人は、この繋げる力があります。色んな事を感じているから引き出しが多い。

感性は生まれつきのものだという人もいますが、私は磨けると思います。そして磨けば磨くほど、実は自分らしさも磨かれる。

「やっぱり美術館とかにいくんですか?」

美術館とか、美しいものを見るのは感性を磨くのに良いと言いますが、これは半分正解で、半分不正解だと思います。

実は私、あんまり美術館の絵画や彫刻なんかに興味がありません。私が好きなのは、映像を使った展示やプロジェクションマッピング。もっと具体的に言うと、大阪の万博記念公園にある「ニフレル」というアートと水族館&動物園が、合体したミュージアムがすごくめっちゃ好きです。年パス持ってます(笑)。

美術館にも時々行ったりするのですが、色々触れてみて分かった私が好きなものの共通点は「動きがあること」

絵画や彫刻は私にとっては止まっているので、あまり魅かれません。でもニフレルに行くと、カクレクマノミが泳いでいる円形の水槽の光が、マゼンタ、コバルトブルー、ダークグリーンと、どんどん色を変えていくので、その時々で水槽の表情が変わります。

「その一瞬しか見ることが出来ない」アートって、すごく興味を惹かれます。

料理のデザインで言うなら、シンメトリー(左右対称)よりも、アシンメトリー(左右非対称)が圧倒的に好きです。右と左のデザインが違う場合は、大体お皿の中に何も無い空間があってそこに動きが生まれるからです。

アートでも料理でも、美的感覚を養ってくれるものに触れるのは、自分が何に魅かれて、何に魅かれないかを知るためだと思っています。ただ美しいものに触れるだけではなく、それをみて「あなたが何を感じるか」が鍵なのです。

感性には2種類ある

美しいものに触れたときの感性には、インプットとアウトプット2つの方向性があります。

まず一つ目は、アートでも自然でもお料理でも、対象そのものに宿る、思いやストーリーなどを「感じ取ること」。これは「インプット」です。

例えばよくワークショップで使わせていただく場所に、国の重要文化財で三井銀行の大本を作った旧三井家の所有する建物があります。この場所で当時人々がどんな思いでこの庭を見つめていたのだろう、と思いを馳せる。今運営されている方達が、どんな思いでこの建物を守っていこうとしているのかを感じる。

それに対して「自分がどう感じているかを見つめること」。これが二つ目の「アウトプット」。

例えばこの重要文化財は大正時代のもので、大正ガラスが使われています。当時はガラスを真っ直ぐに作る技術が無かったので、歪みがあるのですが、今はその揺らぎがむしろ風流に見えて素敵なんです。時を経たものの中に美しさを見出すこと=侘び寂びを大切にしているから、私はこういう場所が好きなのかもしれません。

感性を磨くとは、どちらかというと二つ目のアウトプットの感性なのかなと私は思っています。
自分のなかの
「これが好き」
「これは綺麗」
「これに惹かれる」
「これはテンションがあがる」
みたいな感覚を大切に扱うことです。

そしてそこで終わらずに、なぜ自分はそう思うのか、好きな物の共通点を見つけてみる。そうすると自分が大切にしていることが浮き上がって見えてきたりします。

視覚を閉じて、感性を開く

感性を磨くもう一つの方法は、「五感を意識すること」。特に普段多くの情報を取り入れている視覚以外の聴く、味わう、嗅ぐ、触れる、感覚を研ぎ澄ませることです。

例えば目を閉じてごはんを食べると、味覚がとても繊細になります。普段は気づかない素材の香りにも、気づくと思います。「ダイン・イン・ザ・ダーク」という、真っ暗闇のなかで食事するレストランがあるのですが、ここは正に資格を外して味わう体験をするための究極の場所ではないでしょうか。

音楽を聴くときにも、映画を見るのと、映画のCDアルバムを聴くのでは、音の聞こえ方が変わります。

嗅覚を研いでくれるのは、例えば「聞香」。京都のいくつかのお香屋さんで体験できる、利き酒ならぬ、利きお香。順番に回ってくるお香の香りを覚えて、出題されるお香を当てます。これもまた、視覚を閉じて香りを聞くと(素敵な表現ですよね)、嗅覚はいつもよりずっと繊細に働いてくれます。

五感は感性と密接に繋がっています。私たちは「美味しいかどうか」を考えません。食べた瞬間に「あ、これは美味しい」と感じますよね。五感を普段から意識して研いでおくと、何かに出会った時に創造力が花開きます。


自分の感じたことを丁寧に見つめる。

自分はこんなものが好きで、こんなことに魅かれる、を大切に大切にしていくことが、自分らしさを磨き、よりクリアに見えやすくしてくれるように思います。

感性と黄金比コーチングで創造性を高める